中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年04月13日
さて、少子化を何とかしたいと考えているロシアの国はどのような子育て支援を行っているのでしょうか?日本とはちょっと違うやり方がありますので、ここで簡単にご紹介します。
2007年1月1日以降生まれた二人目の子供の親に対して国はматеринский капитал(母親資金)という一時金の支給を開始しました。2011年の時点でその金額は36万5698ルーブル(約110万円)でした。この金額はインフレ率に応じて毎年訂正されています。
「支給」と言っても、二人目が生まれてすぐもらえるお金ではなく、その子が3歳になってから初めて使えるようになります。(それまでにお金を国が預かっていて、インフレ率に応じて金額を毎年訂正。)
さらに、お金の使い道そのものも下記の三つに限定されています。
1)マンションや家の購入
2)子供の学費(1人目の子供に使ってもOK)
3)母親自身の将来の年金
1ヶ月いくらというシステムで支給される日本の児童手当とはちょっと発想が違いますけれども、みなさんこの制度をどう思いますか?
ロシア人の間で問題になっているのは、このお金を治療費に使えないことです。政府は「ロシアは医療費が一切無料だから」という立場だそうですが、実際にはそう単純ではないです。国の病院なら診察や治療は無料なのは確かですが、薬局で買う薬は処方箋の有無に関わらず保険が適用されず、全額自己負担になっています。したがって、病気によっては家計にとって大きな負担になることも十分考えられます。そして、(日本もそうですが)海外に出ないと受けられない手術もありますので、「治療費には使えない」という「母親資金」の制限に対して納得がいかない親がいることも事実です。
*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。