中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年04月14日
指されても息子をかばう母親
別の報道では、この学生は父母の仕送りにあぐらをかき、日本でもアルバイトをしていなかったことが分かっています。ただ新民晩報の11日の報道では、学費の問題で言い争いになったという報道やアルバイトをしていなかったとのうわさを母親が否定しています。
しかしこの記事を見る限りはやはり、母親は怪我を負わされてもなお、「息子かわいさ」のあまり、息子にとってのマイナスイメージを払拭しようと躍起になっている印象がぬぐえません。すねをかじられている親の悲哀にしか見えません。
かつてとは違う中国人留学生
これらの報道を目にしたとき、私は「中国の学生も変わったな」という感を強くしました。以前は日本に留学する中国の学生といえば、大卒以上、またはそれに相当する年齢の人たちが多かった気がします。昔は中国の大学を卒業して一定の期間国内で働いた人のみ国外に留学できるシステムになっていましたから、当然といえば当然でしょう。
しかしそれだけに、日本における中国人留学生の意識は高く、「絶対日本で何か学んで中国に持ち帰ってやる」というギラギラした意欲を持っている人がほとんどでした。もちろん以前も日本人学校などを通じて日本に入り込み、勉強そっちのけで犯罪を働く輩もいましたが、日本の大学に留学するレベルの中国人学生はみな優秀だった記憶があります。
しかし、中国の開放政策にもとなって日本に来る留学生も様変わりしました。今では逆に、国内の大学入試に落ちた少々レベルの低い学生が選択肢として日本への留学を考慮するケースが増えているのです。そういう学生は当然「啃老(すねをかじる)」ことにも引け目を感じないわけです。もちろん以前とかわらない意識の高い在日中国人留学生も存在しますが、少数派になりつつある現実があります。まさに現在の中国人留学生は「玉石混交」というわけですね。
しかし、12日付新民日報の取材に応じた在日中国人留学生の沈さんは、「在日中国人留学生にもいろいろプレッシャーがある」と理解を示しています。沈さんは日本での留学歴が10年に達し、現在は名古屋大学博士課程で学ぶ、いわば「正統派」の中国人留学生です。
その沈さんが留学生が受けるプレッシャーとして次の点を挙げています。
(1)日本語をしっかりと話せないと日本人コミュニティーに溶け込むのは困難これをプレッシャーととるのは、「甘い」と言ってしまえばそれまで。私もそう思います。親の意識も、子どもの意識も徹底的に変えて初めて、これらの問題を解決できるのでしょう。ただ、これらの現象は「中国人だから」という言葉で済ますことはできません。海外に留学している日本人留学生にも同じ問題があるのです。子どもを持つ親として、私も肝に銘じておきたいと思っています。
(2)日本に存在する中国人留学生への差別
(3)教師が指針を示す中国式の学習方法と学生の自主性に任せる日本の学習方法との違い
(4)親が「将来のため」と迫り、望まないのに強制的に留学させられたケースもあること