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2011年04月23日
上海市コンテナ運転手のストライキが3日目に突入(2011/4/22 ロイター中文)
集合地点となっている宝山区は、上海市の北部にある港湾地区です。22日は運転手が約600人集合。不参加を決めた運転手の車両に石をぶつけたとのこと。少なくとも1台のウインドウが割られる被害が出ています。参加者の多くが下請けの個人業者ですので、不参加者は会社に属しているか、あるいは日和ったのではないかと思われます。
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なお、25日に上海市政府関係部局とストライキの代表と会見し回答することが決まったと、現場にいた警官が記者に明かしています。なおも現場を去ろうとしない運転手に「帰りなさい。双方の代表が話し合って回答するから」と拡声器で説得を続けるものの、運転手側は「何の答えももらってない」とストライキの継続で対抗。元々の計画では週末までとなっていましたが、少なくとも25日の交渉までは続けるつもりなのでしょう。
土日に限ったデモとは違い、今回はストライキ。貨物の運行に徐々に影響が出るのは時間の問題です。既に「多くの貨物船が荷物を満載できないまま出航している」とのこと。香港行き、米国行きの貨物船は「20%から40%程度しかコンテナを積めていない」という状況です。影響はじわりじわりと来ております。
燃料費高騰、雑費徴収で運転手ストライキ(2011/4/21 東方日報)
東方日報の取材によると、先に給料カットされた税関職員の怠惰も問題だそうです。職員がダレてろくに仕事をしないため、積み下ろし作業に時間がかかってしまう。少しでも多く運びたい運転手らは怒り心頭なんだそうです。あー、官民衝突じゃないですか。
ストライキ中は、運転手側も収入が全く途絶えてしまうわけですし、まさに身を削る思いのはず。一方、企業側もロジスティクスセンターなど物流業への影響は確実に広がっているので、まさに我慢比べです。
上海市以外でも、天津市、寧波市(浙江省)でも同様のストライキが実施されています。5月1日の五一労働節(メーデー)の連休が目前にひかえていますが、それまでに解決して連休に入りたい党中央や上海市は焦っているのではないかと。また、他地区との連携という、今まで無かった動きにまで発展するやも知れません。
上海港コンテナ車運転手のストライキ、3日目に突入(2011/4/22 RFI中文)
RFIによると、韓正・上海市市長をはじめとする市政府執行部とストライキ代表が22日午前に話し合いを持ったとのこと。運転手側の要求がおおむね認められたため、23日以降のストライキ中止が決まったそうです。
また、韓正市長は今回の事件を「運転手が利益を訴えたもので、別の更に重大な事件ではない」と認定。「定性」という政治的な単語を使っているので、党中央の決定であると推測されます。この決定は23日の午前中にも公表されるようです。
今回韓正市長が下した対応を眺めると、手数料やら道路使用料やら謎の夜間費用やらでいかに運転手が搾取されているのが分かります。
貨物搬送運転手、上海大ストライキ最新情報(ジャスミン革命発起人)
ジャスミン革命サイトのソースですと、21日夜に上海市政府が登録企業責任者を集め、自社で使っている運転手に対する管理強化を求めたそうです。ストライキ側の要求に関する話は一切出なかったとされています。
21日夜時点では、25日に回答する方針だったこともわかります。それが翌22日になって急きょ返答した背景には、状況悪化と他地域への飛び火を懸念する党中央の思惑があったのでしょう。運転手側の要求をほぼ丸呑みしたのも、これ以上長期化させれば余計に激化してしまう。結果、行き着くところはザ・鎮圧しかない。ということでしょう。
党中央が折れた形になりましたが、やはり他地域への波及を恐れての対応ではないかと。ただ、今回の件で大規模にストをやれば政府は折れると皆々は学習したはず。他地域ではなく、他業種へ波及しそうな予感がします。
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*当記事は4月22日付ブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。