中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年04月25日
ンガバの状況は昨日、2人の年長者が殴り殺されたことを契機に、更に緊張したものとなっている。僧院の前には昨日の夕方さらに多くのトラックが到着し、されに多くの僧侶が連れ去られるのではないかと懸念されている。
一方、中国当局は外部に情報が漏れる事を警戒し、昨日から、ンガバの通信網を全面的に遮断しているという。さらに、昨日のロイター通信によれば、当局はンガバ州とその周辺の県、及びカンゼ州全域への外国人旅行者の入域を禁止するとの通達を出した。現在この地区に入っている外人も追い出されるという。事実を隠すためにメディアどころか外人観光客までも追い出そうというのだ。旅行制限の件(*四川旅游資訊、中国語)
昨日、政府は新華社を通じ、始めてンガバのキルティ僧院に対し「法律教育」を受けさせるキャンペーンを行っていることを認めた。これを正当化するための理由として「この僧院は問題が多く」、僧侶たちは「売春宿」に通い、「ギャンブル」にふけっているという。これほどまでに僧侶を侮辱したプロパガンダもないであろう。参考程度の日本語ニュース(*MSN産経ニュース)
以下一昨日の夜から始まったキルティ僧院の僧侶たちの連行に付いて報告する。この情報はいつものようにダラムサラのキルティ僧院の僧カニャック・ツェリンが伝えたものだ。チベット語が理解できる人は以下にアクセスすることで直接彼の話を聞くことができる。→音声、チベット語
21日の夜9時半頃から特殊警察隊が各僧房を廻りながら、次の日の朝4時頃までに僧侶300人以上を連れ出し10台のトラック(バスとも)に分乗させ、僧院から連れ去った。行き先についてはンガバ州内のブンテン(ཝུན་ཁྲན་རྫོང་ )県、モンウン(མོང་འུན་རྫོང་)県、タシリン(བཀྲ་ཤིས་གླིང་)であろうと言われている。
僧院の前には12日から約200人の老人中心のグループが僧侶たちが連れ去られるのを阻止するために寝泊まりしていた。で、この動きを見た彼らはトラックの行く手に身を投げ出し、命がけで僧侶たちを救おうとした。これを見た特殊警察は、容赦なく彼らに襲いかかった。激しい暴力を振るい、多くの人々が手足を折られたという。1人の女性は足を3カ所折られ、悲鳴を上げると今度は声が出ないように口に服を押し込まれたという。そして2人の人が殴り殺された。1人はタウのドンコ60歳、もう1人はチャ郷の女性シェルキ65歳。2人はすぐに墓場に運ばれた。
抗議者たちはその後4台のトラックに載せられ、2台は軍駐屯地の近くに、他の2台は墓場に送られた。22日の朝、この内ほとんどの年長者は解放されたが若者の何人かはまだ拘束されたままだという。1人の若い女性が行方不明とされている。
22日の午後5時頃、さらに5台のトラックが僧院に到着した。僧侶たちをさらに連行するためではないかと憂慮されている。
町中の店や食堂は閉められており、町には軍隊と政府の車だけが行き来しているという。
参照:ICT、22日付リリース RFA、22日付け英語版
*当記事は4/23付ブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。
国際社会の警察を標榜しているアメリカは何をしているのか。
イラクやリビアには自分勝手な正義を振りかざしているくせに、中国様には抗議できないらしい。
最近は、爽快な気分になれる話題が無く、気が滅入るばかりだ。