外国人が中国を救う?
『環球時報』ウェブサイトに「なぜだ?外国人だけが中国を”救う”ことができる」という見出しで、
ある書き込みが紹介されていました。今回はこれについて少し。
紹介されていたのはネット掲示板・環球網論壇の書き込み。環球網論壇は、日本でいう2ちゃんねる的な活用をされており、スレ主が気になったニュースなどを紹介すると、それについてネットユーザーがコメントするというもの。このサイトをのぞくと、ネットユーザーの感想がわかるので重宝しています。またスレ主はいかに人の関心を引く記事がチョイスできるかが腕の見せ所。それだけにかなり面白い記事が集まっています。
*画像は大洋網の報道。
*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。
誰もが見過ごす中、外国人男性だけが注意した
さて、今回紹介されていた記事は26日付大洋網の記事「外籍男子在广州街头拦截逆行公车引热议」(外国人男性、広州市内を逆走する公用車を通せんぼ=この行動が話題に)です。バス以外は進入禁止の道なのに、勝手に入る車が多数。公用車すらも我が物顔で侵入していたとのこと。実際、記者が取材をしたとき、駐車違反や不法出店の取り締まりを行う都市管理局の車まで進入しているのを目撃したそうです。
違反が常態化し、誰もなんとも思わなくなっていた中、1人の外国人男性が体をはって車を止め、「ここは一方通行だから入ってはいけない」と大声で運転手に注意していたというのが記事の内容。男性は何度も注意を繰り返していたそうです。中国人の違反は中国人が取り締まるべきところを、外国人が代わりにやってくれたというかなり恥ずかしい事態となってしまったわけです。
また、中国人はウチとソトの区別もかなりしっかりしているので、ウチの恥をソトの者(外国人)に正してもらったという形で、二重の意味でかっこ悪いことと言えるでしょう。この記事が関心を集めた背景はよく理解できます。
中国ネット民の反応
さて、環球網論壇ではこの記事にどのようなコメントがつけられていたのか、ご紹介します。意訳、省略がありますので、ご容赦を。
これこそ、伝統文化の結晶だ。我々管理社会で何千年に渡って蓄えられてきた保身という鉄の掟だ。
ある者は金に極端な関心を持ちどのような手段をとることもいとわない。他人を陥れたり、傷つけたりすることすらいとわないのだ。
大部分の人はわがままで、自分のすることは他人から許されると思っているが、他人が同じことをするのは拒絶する。
個人的に一番うけたのが、「
党の賢明で正しい指導の下、私達は利己的で貪欲になりました」というコメント。なかなか皮肉がきいてますね。中国は豊かになる一方で、様々な社会問題が噴出しており、金のためなら何をしても良い、下手に道徳を守るより金を稼いだ方が良いという風潮があります。
その風潮が表面化したのが、最近、中国で話題になっている食品偽装問題でしょう。本来安全であるべき食品を、安くあげるためなら薬品を入れたり、偽装したりと何でもするというわけでです。冗談ぬきでかなり恐いです。
あと、この記事で大変興味深かったのは、中国人に自分の非を認めさせる論法の参考になるのではと思ったためです。どうも日本人の中には、中国人に何を言っても無駄だとまで思っている方がいるようですが、当然非を認めることもあれば、行動を改めようと思うこともあります。
問題はそのやり方で、同僚の前で叱責して、メンツをつぶすというのは最悪な方法です。この外国人がやったように、自分で体を張って正しいことをやってみ
せ、如何に自分たちが間違ったことをしていたか、気づかせること。それが中国人とつきあっていくうえで大事なことなのではないでしょうか。
*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。
岩下 宣子
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