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「ウチの国のサッカーが強くならない理由は?」中国サッカーファンの考察―中国オタ事情

2011年05月06日

中国人「ウチの国のサッカーが強くならない理由はなんだろう」

今回はサッカーについてのネタで一つやらせていただきます。


大学城足球比赛 / llee_wu


中国のサッカー事情に関して「中国はあれだけ人がいてしかもサッカーの人気が高いのになぜサッカーが強くならないのか」という疑問をいだいている方は少なくないかと思います。これについては私としてもちょっと不思議だったりします。

そんなこんなでずっと疑問が残っていたのですが、先日中国のソッチ系の掲示板で「中国のサッカーが強くならない理由」についてちょっと気になるやり取りを見かけましたので今回はそれを紹介させていただきます。

それでは以下、例によって私のイイカゲンな訳になります。

*当記事は4月23日付ブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。

外国人も、ウチの国の人間もみんな「中国の人口は13億もあるんだから、11人の優秀なサッカー選手を選ぶくらい簡単なはず」とよく言うけど現実はあんな状態だ。なんでウチの国のサッカーは強くならんのだろうか。


人が多すぎるのが逆に問題なんじゃないか?
サッカーの訓練も行き渡っていないし、一定以上の経済レベルの子供は将来のために受験の競争に参加しなければならないから身体能力は落ちるし、子供がサッカーに力を入れるのを喜ぶ親や、体育学校に入れてもいいと考える親は極めて少ない。


人口が多すぎるってのは重要な問題にはならないだろ。ブラジルだって人口多いんだし。あと都市計画のせいでサッカーをする場所が少ないという話も聞くが、南米なんて街の中でボール蹴ってたりするぞ。
サッカー文化が育っていないことや、サッカー協会がダメなこととかが原因なんじゃない?


ウチの国のサッカー協会や国内リーグの八百長問題は根本的な問題じゃないようにも思えるんだよね。ヒドイことはヒドイけど、他の国にも無いわけじゃない。
問題はウチの国のスポーツ戦略じゃないかな。オリンピックで金メダルを取るのが第一の目標だから、世界的に見てあまり人気が無い上にそこまで発展していないスポーツ、プロスポーツが発展していない種目に力を入れている。こういったスポーツではウチの国のやり方は非常に効果的だ。
しかし市場も影響力も大きいスポーツになると単純な方向でのやり方が通じなくなってダメになる。


確かにウチの国が「スポーツ大国」になってるのはあまり人気が無かったり、まだそれほど研究されていない分野に先に投資するからだよね。で、他の国が発展しだすとウチの国はダメになる。
人気があって流行しているのはホントどれもイマイチ。サッカーなんかはまさにそれ。
女子サッカーでも昔はそんなに人気なかったからウチの国も大活躍したけど、最近はメッキがはがれてきているし……。


そもそもウチの国はサッカーファンは多いけど国の方針がサッカーを重視していないよね……。


中国の子供がサッカー選手になろうという夢を抱けないのが大きな問題だよ。
俺の周りではもう誰もサッカーができるヤツはいないし、サッカーをやろうとするヤツもいない。みんな死ぬほど勉強して、勉強の次にはテストで死にそうになる日々だ。


ウチの国って人口やサッカー人気の割には競技人口少ないよね。


中国の子供は勉強ばかりでどんどん体育関係がダメになってるからな。
豊かになったし身体的な条件は昔より良いはずなんだが、受験教育で結果的に潰れてしまっているように思える。サッカー選手になる子供も減っているんじゃないか?


中国ではサッカーをやって将来の成功につながるとは考えられないからね。ブラジルなんかだとサッカーは成功の手段だけど、ウチの国ではサッカーは学業の妨げになってる。
サッカー文化に関しては、中国の発展は遅すぎる。


自分の子供をサッカー選手にしたいと考える親は少ないからなぁ。
実際中国のサッカー選手の層はアジアの強い国と比べても薄いよね。日本や韓国は青少年に対する優れたサッカー育成のシステムがあるけど、現在ウチの国には受験勉強しかない。


人口比率的にはウチの国もメッシやマラドーナのような人材が出ているかもしれないが、それをサッカー選手にすくい上げる体制も文化も出来ていないよ。


北朝鮮はどうなんだ?
あそこは競技人口もウチの国より少ない上に貧しいし、それに加えて選手の育成体制も社会主義国の方針で行われていると思うんだが……。


考えてみれば北朝鮮はプロリーグの規模もウチの国より小さいよな。どこで差がついたんだろう。


北朝鮮はサッカー選手として活躍したときに得られるものの価値が中国よりも相対的に大きいんだろう。あの国で何の問題も無く暮らせるってだけで必死になるんじゃないか?
正直北朝鮮と中国で選手や戦術にそこまで大きな差は無いと思う。ただ精神的な面で劣っているようには思える。


てかいったい何を理由にすればいいんだ!
中国より生活レベルの貧しい国に対しては「精神的に負けている」、中国より生活レベルの豊かな国に対しては「サッカーの環境」、中国よりもサッカーの歴史が長い国には「サッカー文化」という話が出てくる。逆に中国に足りているものって何よ?


中国のサッカーファンが代表チームを罵倒しすぎなんじゃないか?中国のサッカーファンの質が低いとでも言うべきか……。
中国のサッカーがプロ化する前はもっとダメな負け方もあったけど、当時は今のようにメディアを挙げて叩くなんてことはなかった。中国より弱いところは少なくないが、中国のように代表チームを罵倒するところは無いんじゃないか?


普段みんなが見てるのは欧州リーグだし、欧州リーグに慣れた目で中国代表チームを見るとがっかりするよな。代表チームへの失望はそういったことも影響しているんじゃないだろうか。


代表チームなんて結果出せないとどこの国でも叩かれるだろ。どこだって代表チームは毎回不満の的になってる。韓国だって日本だって代表チームの成績が悪いとすぐに批判のニュースがメディアに流れてるぞ。


最大の問題は選手を「専門的」に扱っていることじゃないか?
サッカーのように試合の相手がいて、個人の求められる能力や役割も違い、更に戦術も次々変わっていく競技に対して中国式の育成は相性が悪いように思える。
ウチの国では大学入試で加点がもらえるような「国家運動員」レベルの人間以外はスポーツを放棄して受験勉強だけに集中してしまうから、サッカー選手の競技人口数はかなり小さい。これでは基礎身体能力はともかく、規格外の才能を持った選手を見つけるのは難しいと思うんだが。


ウチの国はサッカーは「見てるだけ」の人間が多いからね。子供の頃から受験勉強するしかないからサッカー選手になろうなんて考える人間はほとんどいない。


てかあれだ。「見てるだけ」の人間より更に多いのが「騒ぎたいだけ」の人間だろ。

とまぁ、こんな感じで。中国のサッカーファンにとって、最近の中国代表チームの低迷は非常に頭の痛い問題のようで、イロイロな意見が出ていました。

今回紹介させていただいた中で個人的に気になったのは「中国のサッカーの競技人口はそれほど多くない」という点でしょうか。

私も中国のサッカーの競技人口についてハッキリした数字は分からないのですが、13億の人口から想像される数字よりも少ないのは確かなようです。騰訊網に転載された東方体育日報の記事(中国語)によれば、中国のサッカー協会に登録されている青少年サッカー選手(恐らくU-18だと思います)は7000人しかいないとされています。また記事内では「日本サッカー協会の18歳以下の登録選手は50万人いるのに」と嘆かれています。

一応補足しますと、日本では上から下まで様々なレベルの人が登録されていますが、中国でサッカー協会に登録されるような人は基本的に「選ばれたエリートスポーツ選手」なので、一概に比較するのは難しいです。

ただ、さすがにこれだけ差があると「中国はサッカー選手の層が厚い」と言うのは難しそうです。

考えてみれば、中国では「スポーツ競技のやり方を学ぶ」のは一部の才能がある人間だけです。学校などでサッカーやバスケ、卓球などのスポーツをやらないわけではないのですが、一般の生徒はあくまで遊び止まりで「サッカーのやり方」を学ぶことはありませんし、試合にでることもありません。学校の運動会などでも選ばれた優秀な選手のみが参加して一般の生徒は応援するだけという形になります。

もちろん中国の学校にも体育の授業はあるのですが、受験勉強に関係ないということで重視されていません。私が中国の学校に通っていたときの授業も陸上競技をちょっとやって後は自由時間という感じで、この自由時間で各自が勝手にサッカーをやったり卓球をやったりバスケをやったりしていました。

ちなみに私が留学中に通っていた中国の中学、高校でも「サッカーのやり方を学ぶ」ということはありませんでしたね。サッカーを楽しんでいるのは多かったのですがほとんどが自由時間にボールをポコポコ蹴ってるような感じでした。

そしてそんな状態でしたから、私の在学中に一度修学旅行で日本から来た高校と交流時間を使ってサッカーの試合が行われたときなどは「ちゃんとサッカーをやる」日本の学生チーム(サッカー部の人も混じっていたそうです)に対して勝負になりませんでしたね。

中国におけるスポーツ選手の育成方針がサッカーの強さにどれくらい影響するのかハッキリしたことは分かりませんが、一般の人間とサッカー選手の距離を大きなものにしてしまうところはあるのではないかと思います。

中国においてサッカーの人気は高いですしサッカーを遊ぶ人間も多いのですが、実際にサッカーを練習して試合もしたりして続けていくような人間は少なく、また趣味でやっている人間がプロを目指すというような流れについても一般の中国人にとってはイマイチ実感がわかないといったことになっているのかもしれませんね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

*当記事は4月23日付ブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。





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