中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年05月06日
第一次世界大戦後のパリ講和会議で、中国の不平等条約撤廃が実現されなかったばかりか、ドイツが山東省に有していた権益が日本に移転ることが決まりました。この不満をきっかけにして中国全土で五四運動が展開されます。1919年5月4日、北京の学生によるデモを皮切りに、中国全土に波及しました。学生運動が発端となったことから、毎年5月4日が青年節と定められたのです。現在では青年に関係した各種の催しが行われています。
広州実験中学のイベント
中国国際広播電台(CHINA RADIO INTERNATIONAL)が、広州実験中学で行われたイベントを紹介していますが、興味深い内容だったので、少しご紹介します。
イベントの内容は、校庭で、父兄の前に中学2年生になった生徒が跪き、父兄から手紙を受け取るというものです。文字にしてしまうとこれだけですが、掲載されていた写真を見るとかなりの人数が参加しており、確かにすごい迫力です。
自分の若い頃をを思い出すとよくわかりますが、中学2年生と言えば、思春期まっただ中。親に対していろいろ複雑な感情を持ち始め、自意識もかなり過剰な時期です。1人でこうしたことをやれと言われても、とてもできたとは思えません。ですが、このイベントのように皆で同じようにやるとなれば、問題なくできたでしょう。
戸惑う男子生徒も何人かいたようですが、周りを見て、同じように跪づいたそうです。一方、両親が2人とも仕事の関係で来ることができなかった女子生徒がひたすら泣いていたそうですから、こうなると逆に出来ない生徒の方が可哀想になってきます。
中国で「跪く」ことの意味
家の中に畳等はなく、基本的に椅子で生活している中国では、跪くという習慣はなく、跪くという行為はかなり特別な意味を持ちます。初めて父母の前で跪いたという者もいたそうです。中国では一人っ子政策の関係で甘やかされて育てられた子どもが多く、「小皇帝」という言葉もはやったことがあります。それに父母も現在では経済発展に伴い、仕事が忙しくなっており、子どもにかけられる時間は間違いなく以前より減少しています。
こうした中で、親子の関係を考えなおすという意味ではそれなりの効果があったようで、ある父親は娘が跪いたのを見て、「大変感動した。今日、娘が成長し、物事を理解するようになったことが初めてわかった。普段娘に対する関心が少ないことを申し訳なく思っている」と泣きながら感想を述べていたそうです。
教育に正解はありません。いろいろ試行錯誤するしかないのです。それはどこの国も同じでしょう。親はみんな、いろいろな悩みを抱えながら、子どもを育てているのではないでしょうか。
*写真は中国国際広播電台(CHINA RADIO INTERNATIONAL)の報道。他に写真多数。
*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。