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2011年05月07日
”危険分子”8万人を追放
2011年4月10日、深圳市公安局は記者会見を開催。今年1月1日から実施されている「ハイリスク人員徹底調査100日行動」キャンペーン(4月10日終了)の状況について発表した(4月11日付金羊網参照)。6日時点でのべ28万4000人の警官が出動。借家、ネットカフェ、ホテル、娯楽施設などをしらみつぶしに検査。借家家主2300人余りを処罰し、違法なネットカフェやホテルなど1180軒余りを営業停止処分にしたことを発表した。
また“ハイリスク人員”について徹底的に調査し、すでに8万人余りが深圳市を離れたことを明らかにしている。気になるのは”ハイリスク人員”とはどのような基準で定められるのかという点。10日、深圳市公安局の申少保副局長は「正当な理由がないのに長期滞在している者」「行動が疑わしい者」「深圳市の治安と人民の生命及び財産の安全に現実的な脅威を与える者」だと説明(4月18日付新世紀参照)。
具体的には収入もないのに深圳市に長期滞在している者、風俗嬢など正当な職業を持たない者、ニセの身分証を使っている者などを例に上げた。こうした当局の取り組みに対し、違法行為で逮捕されるわけではなく、「危険がある」と追い払う行為は人権侵害ではないかとの声も上がっている。
給料はちゃんと支払え
そして5月7日、深圳市当局は「ユニバーシアード期間の社会の調和と安定をともに守るために通知」を発表。出稼ぎ農民を雇用する建設企業に、「ちゃんと規則通りに給料を払えよ。違反したら3カ月間、市内での業務受注を禁止する」と命じた。
賃金未払いの末にデモや紛争が起きないよう、未然に封じたという次第。ユニバーシアードのあるなしにかかわらず、給料はちゃんと払った欲しいとも思うが、少なくとも労働者にちゃんと賃金が支払われるならば喜ばしいこと……などと思っていると、最後に次のような条文が。
6:ユニバーシアード期間中に、出稼ぎ農民が集団での陳情など、正常ではない手段で給与支払いを求めることを厳しく禁止する。集団陳情などの事件を組織、参加したものには関連規定に基づき厳しく処理。また事件によって生じた結果や影響については、刑事責任を追及する。とりあえず、企業には賃金未払いがないように促すけど、おまえらが騒ぎを起こすのも許さないというお達し。普通はもっとこっそりやるものだが、8万人追放といい、やたらと堂々としているのが深圳スタイルなのだろうか。