中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年05月18日
まずはフランス文化絡みの問題。フランスでは、鶴は愚かなこと、淫らなことの象徴だそうです。そこから愚か者、娼婦といった意味合いにもなるのだそうです。
もう1つの指摘がより大きな問題となります。絵柄が日本の皇室を表しているという指摘がなされました。鶴はめでたい鳥として、皇室が着用される袍(束帯の上着)の文様に使用されています。そして、ドレスには菊の花(いうまでもなく菊花紋)もあしらわれていたことも、批判の理由となりました。
*環球網の報道。
思うに中国の場合、日本の全てに関心があるというよりも、皇室とか旭日旗とか戦争を思い出させる特定のものに対するアレルギーがあるのではないでしょうか。以前にも、女優ヴィッキー・チャオ(趙薇)が旭日旗に酷似した模様が入ったワンピースを着たことが騒ぎになりました(いわゆる「軍旗裝事件」、写真は雑誌『時装』2001年第9期号に掲載)。小泉首相の靖国参拝と重なったこともあり、大きな問題へと発展しました。
*問題となったファッション。新浪網の報道。
ただ、もともと「鶴は千年、亀は万年」ということわざは中国の『淮南子』などが発祥と言われています。それが日本に伝わってめでたい鳥とされたのですから、何もそんなに目くじらを立てなくても良いのではないかと思うのですが、なかなかそうもいかないようです。
他にも、2008年に丹頂鶴を中国の国鳥化しようという動きありましたが、学名が「日本鶴」だったことから強い反対が起こり立ち消えになったことがあります。(*関連記事「タンチョウの中国国鳥化に異議、「学名が“日本鶴”!」サーチナ、2008年9月4日)
実際、今回の范冰冰の衣装については、敦煌紋に同じようなものがあるという指摘もなされているとのことですから、私はさほど気にしなくてもよいと思っているのですが。
*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。