中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年05月17日
「世界卓球は“非中国”の王者を求めている」「中国の喜び、卓球の憂い」「“独占”は決して喜ばしいことではない」などなど、中国メディアには今回の結果を憂う見出しが並んだ。これは何も今大会に限ったことではない。21世紀に入り、中国卓球界はほぼ“無敵”状態が続いている。
最初は「勝った、勝った」と無邪気に喜んでいたメディアやファンも、次第に「このままでは卓球という競技自体が衰退してしまうのでは……」との懸念が上回るようになってきた。俗に「養狼計画」と呼ばれる、中国が他国選手の強化をサポートするプロジェクトも進められているようだが、効果は上がっていないようだ。
日本のみならず、中国でも絶大な人気を誇る福原愛も、中国の范瑛に敗れた。14日付瀋陽日報は「世界選手権で最も美しい“花瓶”」とのタイトルで愛ちゃんについて伝えた。その絶大な人気、見る者を和ませるかわいらしさがあるとたたえているが、タイトルに付けられた「花瓶」という言葉がその実力の評価を示している(「花瓶」は日本語で言うところの「職場の花」)。
圧倒的な中国の強さを目の当たりにすると、「このままでは国際スポーツとして成り立たなくなるのでは」といういささか傲慢にも思える中国人の不安も杞憂ではないように思える。とはいえ、中国代表に手を抜けとも言えない。当分の間は五輪や世界大会があるたびに「また勝ってしまった……」と頭を抱える中国人を見ることになりそうだ。
でも、優秀なのは本国に残るから、結局外に出たのは本国組みに負けちゃう。