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中国のネット検閲技術がバージョンアップか=“不法”アクセスを感知、接続遮断

2011年05月17日

「KINBRICKS NOW」でも何度か取り上げていますが、今年に入ってからというもの、中国のネット検閲は激しく強化されまくり。中国の一部ネット民は検閲回避のテクニックを身につけていましたが、その抜け穴がふさがれつつあります。

とはいえ、ネットというのは何も中国政府に不都合な情報を集めるための手段というわけではないわけでして。世界中からいろんな情報を集めることができるステキなツールなのですが、検閲強化に伴い中国企業のお仕事にもさまざまな支障が生じているようです。2011年5月17日付RFIの記事「中国ネット警察が検閲突破ネット民を“こらしめた”=中国科学院までまきぞいに」がよくまとまっているので、こちらを参考に中国ネット検閲の現状をご紹介します。


China - Internet Cafe (网吧) / eviltomthai



Flipboard経由のツイッターアクセスも封鎖

先日、ちょっとした話題となったのが、米IT系ニュースサイト「TechClunch」の記事「iPadアプリFlipboard、中国でブロック。「抜け穴」塞ぎか?」。ツイッターやフェースブックは以前からネット検閲の対象でしたが、Flipboardを経由することでアクセス可能な状態でした。が、先日からこの”抜け穴”もふさがれてしまったよという内容。

Flipboardという著名なサービスが封鎖されたので話題となりましたが、実はこれも日常茶飯事。本サイトにも寄稿していただいているブログ「オレ的中国の実態」のエントリー「Twitter × 中国:規制の中でのアクセス方法」は、ネット検閲をくぐり抜けて、中国からツイッターにアクセスする方法を紹介しています。

その8番目に挙げられているのが「海外アプリ」。直接ツイッターにアクセスするのではなく、別のサービスを経由するという手法です。Flipboard以外にも中国から利用可能なサービスは複数ありますが、こちらもいたちごっこ状態で、次から次に使用できなくなっています。


VPNをめぐる攻防

さて、最近主流のネット検閲対策はVPNを使うもの。VPNとはバーチャル・プライベート・ネットワークの略です。ツイッターなどアクセスが禁止されているサーバに直接アクセスするのではなく、VPN事業者を中間にはさむことによって検閲を回避するというもの。しかもVPN事業者と自分との通信は暗号化されているため、中国政府も内容を傍受することはできません。

他の方法と比べて安定したネット接続が可能なVPNによって、一部中国ネット民は幸せネットライフを手にしたのですが、ついにVPN対策が登場したというのがRFIの記事。5月6日頃からVPNを使用したアクセスに問題が生じているそうですが、一部の分析によると、「暗号化された通信を大量に実施しているユーザを特定。そのIPアドレスを封鎖する」という手法がとられているそうで。VPNを使って海外サイトにアクセスしているユーザーを見つけて、一定時間、ネット接続をストップするという技のようです。


仕事にならない

RFIによると、複数の企業や学校で、新検閲技術によるネット封鎖が報告されているとのこと。百度、テンセント、アリババなど中国を代表する大手IT企業でもネット封鎖されちゃった例があるのだとか。問題を避けるため、ある企業では「海外サイトの訪問は仕事に関係があるサイトだけでお願いします。ネット検閲回避のソフトウェアとか使わないでね」とのお願いを出したのだとか。

またある学校では次のような通知を出したとのこと。

生徒諸君へ。インターネットを使用する際、検閲回避ツールやVPNなどを利用して海外サイトに接続しないように。そうした行為は本学院のネット接続の封鎖につながり(グーグルやMSNなど通常で利用可能な海外サイトへのアクセスも不安定になります)、学校や個人に必要な不便を強いることになります。よく注意してください。


中国トップの研究者も海外サイトを見られない?!

中国学術界のトップに君臨する中国科学院までもが新検閲技術の餌食になったそうで。以下は同院の通達。

ここ2日、私たちのネットワークには、短時間海外サイトにアクセスできなくなるという障害が発生しています。検査の結果、一部ユーザーが検閲回避技術を利用して違法なサイトにアクセスしたため、ネット警察部局が私たちのIPアドレスを臨時のブラックリストに入れたためだと判明しました。ネットの使用規範を順守するよう、再度忠告いたします。違法な手段で、政治的に敏感なサイト、違法サイトにアクセスすることを避けてください。

中国の一流企業やトップクラスの研究機関までもがネット検閲にひっかかるとなると、これはちょっと大変です。経済活動への影響もあるでしょう。また、一般市民のみならず、中国の知的エリートまで外の世界にアクセスできなくなったら、誰が国の舵取りをするのだろう……などと心配になったり。

もっとも上述のネット検閲もまだ一部に限定されているようですし、今後は会社や機関の例外待遇なんかもあるのかもしれませんが。ともあれ、中国ネット検閲技術はバリバリとバージョンアップを進めていることは間違いないです。いたちごっこのもう一方の主役である中国ネット民は、VPNが封鎖された後、どんな手段を持ち出してくるのでしょうか。


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