中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年05月18日
その背景にあるのは、アルコール依存症がロシアで深刻な問題になっていることです(これについてこのブログ記事「ビールのCMは肩身が狭い」にも書いています。)。ロシア人の離婚の原因の1位は「配偶者(ほとんどの場合は男性)のアルコール依存」という調査結果がテレビで発表されたこともあります。だから「飲まない」ことが幸せな結婚生活の前提条件としてロシア人の間で強く意識されているのです。
そういえば、キーラフのおばちゃんは娘の旦那さんを私に紹介するとき、「この人はね、一滴も飲まないんだよ」と誇らしげに言っていました。日本ではこういう場面でわざわざ言うセリフではないと思いますけど、ロシア人にとっては「一滴も飲まない」というのはこれからの生活に対する重要な「安心材料」のようです。おばちゃんがわざわざそれを強調していた気持ちもわかる気がします。
一方、うちのパパのように毎日ビールで晩酌をしている人は、要注意。
「今日はビール」
「明日はウォッカ」
「あさっては人間の姿を失ってしまったアルコール依存症」
頭の中ですぐに上記のシナリオを思い浮かべてしまうので、晩酌のことを聞くだけでロシア人の多くは不安になってしまうようです。ビールが「身の破滅」への第一段階としてとらえられているところが興味深い。
一方、日本では「お酒を一切飲まない」ということで人がわざわざほめられている話を私は聞いたことがないです。しかし、その逆なら、つまり「飲まない」ことが「欠点」としてとらえられている話なら、聞いています。
「最近の若者は覇気がない」と嘆くとき、上の世代の日本人は「車などに対して物欲がない」こととともに「お酒を飲まない」という若者たちの特徴を取り上げています。先輩が「とりあえずビール」を注文している横で、後輩たちは平気でウーロン茶を注文するから、その場はちっとも盛り上がらない・・・というような話だったように記憶しています。
それからパパから聞いた話ですけど、「酒を飲まないやつは、本音で話さない」と、日本の男性の中で言われることがあるようです。「こそこそノン・アルコール(ウーロン茶を含む)を飲む奴は何を考えているか解らないから信用できない」と言うのが根底にあるようです。もちろん、その場のお酒は「身を滅ぼすお酒」ではなく、「楽しむためのお酒」なのですが、どちらも「程度を守ってこそ」の話ですね。
とにも、かくにも女の子たちが結婚相手に求めている条件と上司が部下に期待している条件を比較してもしようがないかもしれません。けれども、確実に言えることは、ロシアと日本とでは、アルコールに対する「危機感」がかなり違うことです。ロシア人女性と結婚しようとしている人がもしいれば、ぜひ参考にしていただきたい。
……ちょっと考えたんですけど……。お酒を飲まない日本人の草食系男子はロシア美女たちにもてたりして???(笑)。
*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。