中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年05月19日
一龍さんの勝利と映画出演
さて、それはともかく一龍さんのお話。2011年5月14日、テレビ番組「武林風」主催の中国・タイ対抗戦が行われたのですが、一龍さんが見事、タイの「拳王」に勝利を収めたとのこと。拳王というと、なにやら「北斗の拳」的強敵と戦ったかのように思われますが、チャンピオンという意味。
”強敵襲来”じゃないと盛り上がらないので、出場する外国人選手はみんな「拳王」だという……。まあ、対する一龍さんも「少林武僧」という肩書きですが、実際に少林寺にいたのは1~2年だそうで。キャラ作り、ですね。
試合動画はこちら。
でもって、見事勝利を収めた一龍さんには映画出演のオファーが舞い込んだそうです。なんでもタイのムエタイ王者と「拳王泪」というタイトルのカンフー映画に主演することになるのでは、というお話。気が早い話ですが、もし成功したら、散打選手の出世コースに役者という道が追加されるわけで、ぜひとも頑張って欲しいなと思ったり。
超人じゃなきゃカンフーヒーローじゃない
これまでもたびたび武林風に出場し、外国人相手に勝利を収めてきた一龍さん。結構、ファンがついているんじゃないかと思ってネット掲示板などをのぞいてみたのですが、むしろアンチが目立っていました。その原因は昨年、米国のキックボクシングの試合に出場し、パンチ1発でKOされてしまったためだそうで(新文化報を参照)。
そりゃ試合すりゃ勝つことも負けることもあるんじゃね、などと考えるのは外国人の考え方。リアル・カンフーマスターならばどんな試合でも勝利を収めるべき。ましてや少林寺の武僧ならば超人的能力を備えていろ!という高いハードルが課されているよう。
21世紀になった今も「神秘のカンフーパワー」に夢を託す人はまだ少なくないようです。上述の百度百科にはリアル・カンフーマスター論議の記事が引用されていまして。河南大学武術文化研究所の喬鳳傑所長は「(一龍さんのようにざっくり負けてしまうようなニセモノではなく)リアルな達人は野に隠れている。逆にいうと、表にでてくる人間に真の達人はいない。中国武術の技が断絶する前に、リアル達人を保護しなければ!」とコメント。うーむ、夢があっていいなぁ。