中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年05月19日
“ナゾの薬品”は日本でも使われていた
「スイカ用膨張剤」「膨張増甜剤」など、怪しげな商品名ばかりで報じられていた“ナゾの薬品”。続報によると、薬品名は、ホルクロルフェニュロン(植物ホルモン・サイトカイニンを合成したもの、商品名はフルメット液剤)と報じられています。
「以前は日本のスイカ栽培でも使用されていたが、現在では使われなくなった」とも報じられていますが、フルメット液剤やサイトカイニンで検索してみると、スイカに使用する場合の注意書きもしっかりあります(参考リンク)。少なくとも「使用は御法度」という状況ではないわけで。
では、なんで爆発したのかというのが気になるところですが、「本来ならば受粉時に使用するところをなぜか収穫前に使ってしまった」(農業知識の欠如)、「干ばつ後の大雨が影響した」(天候条件)というあたりが、要因として疑われています。
農薬や食品添加物は「毒」なのか?
中国では食品安全問題が多発しているだけに、人々の関心も高いのですが、ちょっと行きすぎているところもあるようで。「添加物」とか「ホルモン」とか書いてあると、それだけでとてつもなく邪悪なものが入っていると受け止められたりしているよう。日本にもそういう人いますけどね。
2011年5月15日付新華網は、「食品添加物の理解に誤解がある」との記事を掲載。食品安全事故の責任をすべて添加物の責任に帰すのは非科学的と批判し、正しく使われる添加物は近代的食品工業に不可欠、そのことをよく理解して欲しいと訴えています。
中国でたびたび中毒死事件を起こしている亜硝酸塩も、日本では発色剤として認められており、中毒事件が起きたとのニュースも聞きません。結局は用法と用量次第です。消費者も業者も正しい科学的知識を持っていれば、食品添加物は恐ろしいものではないはずだと思うのですが……。
とはいえ、逆にいえば、調味料も添加物も目分量で使ってしまう「どんぶり勘定的精神」が横行している限りにおいては、やはり添加物は恐ろしい存在なのかも。うーむ、悩ましい。