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狼になれない日本人=契約社会のロシアと信義を重んじる日本―ロシア駐在日記

2011年05月28日

日本人は狼になれるか?

ちょっと前のことです。私たちの合弁会社の日本人社長はあるロシアの会社社長とミーティングをしました。ミーティングでロシアの会社社長に「こうしてください」と頼まれて、日本人の社長は「わかりました」と答えました。


Gray Wolf, Canis lupus / Arran_Edmonstone


事情が変わり、合弁会社としてはそのときの「わかりました」を撤回したいと思うようになりました。よくある話ではあるのですが……。日本人とロシア人とでは、あのミーティングの言葉の重さの捉え方がまったく違うことが興味深い。

あのときの「わかりました」に日本人が一体どうしてそこまでこだわっているのか、ロシア人には理解できないのです。説明しても通じるようで通じていません。

*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。

日本人はビジネスを長い目で見て、会社の評判を大事にしている。だから、日本人の社長はあのときの「わかりました」を撤回するには相手の了解を得るべきだという立場をとり、筋を通すべきだと言います。

しかし、ロシア人の従業員たちの捉え方は違います。「あのときの言葉は契約の中に書かれていないでしょ?」とみんな口をそろえて言う。契約重視という欧米的な考えだと言えばそれまでですけど、これでは簡単に片付けすぎです。少なくともタチアナにとっては物足りない。ロシア人の考え方をさらに掘り下げていくと、だいたい下記の通りになります。

その場の雰囲気で1回限り言った言葉にいつまでもこだわって身動きがとれない我が社。相手の会社はこの態度を私たちの「弱み」として捉える。だから、私たちは感謝や尊敬をされるどころか「バカ」扱いされ、「言いなりのヤツら」として相手からナメられる。これじゃ、ロシアでは生き残れないよと。
前から思っていたのですが、日本とロシアは今別の時代を生きていて、別の前提で動いているような気がしてなりません。日本人は相手がまともだという前提で仕事をしている。そもそも日本で「まともに」しないと、会社としてすぐ信用をなくし、やっていけなくなってしまう。一方、市場主義に変わって間もないロシアでのビジネスは弱肉強食の世界。相手が「まとも」だという前提で動こいていると、後で地獄を見ることになりかねない。

С волками жить – по-волчьи выть
(狼と暮らしているならば、狼の鳴き声で鳴くべきだ)


このことわざが頭から離れない。ロシアで成功するにはやはり「狼」にならなければならないのだろうか……。

*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。

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 コメント一覧 (1)

    • 1. ~
    • 2011年05月28日 16:26
    • 変更の詳細がないから、双方言い分に一長一短あり何とも言えないなー。
      単純に現地で商売する、単発・短期なら、郷に入っては~なんだろうけど、この場合、一方に合わせる訳にいかないから、擦り合わせていくしかないだろう。
      板挟みになる辛さはよ~く分かる…。

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