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2011年05月30日
ベテラン女優に厳しいボリウッド
写真を見ながらボリウッド女優の生涯について考えてみた。ボリウッドで女優は、ラブ・ストーリーのヒロインやアイテムガールとして扱われることが多い。となるとどうしても美貌、スタイル、若さで20代の女優が使われることが圧倒的だ。実際に結婚を機に引退をするケースがほとんどだし、次々に新鮮な女優がスクリーンを彩ることになってファンの目を飽きさせない。そして出産・子育てがひと段落するとカムバックして、今度はヒロインの母親役などを演じるようになる。
ちなみにカリーナ・カプールの姉、カリシュマ・カプールはゲスト出演を除きほぼ引退状態。マードゥリーも2007年主演『Aaja
Nachle
』以降スクリーンから遠ざかっている。カジョールは出産のためいっとき仕事をセーブしていたようだが、ここのところまた女優業を再開したようだ。
ヒロインか母親役かという2極分化したボリウッド女優界では、これまで日本で言うところのアラフォーという役柄のニーズ自体があまりなかったと思われる。女優自身も子育てに忙しく、20代の頃よりは確実に衰えており、かといってどっしりとした母親役をやるほど開き直ることもできず、貫禄も不足しているこの年代はまさに空白の世代と言えよう。
インドの天海祐希はいつ登場する?
一方日本では天海祐希、真矢みき、米倉涼子など、凛とした大人の女性の人気が高い。私が知らないだけかもしれないが、逆に日本では安定感があって骨のある20代女優が少ないような気がする。その下はもうAKBとかのアイドルになってしまうし。
ボリウッドで美しさを持ち合わせつつ女優としての年齢を最も自然に重ねていってるのはタッブーだと思う。30代後半を超えて母親役などをやりながらも、アミターブ・バッチャンと大人の恋物語を演じたりして、この空白の世代の第一人者である。(現在41歳)
*画像はHot Bollywood Picturesより。
インドでも様々な価値観が生まれ、映画の作品としても、また女優自身の生き方としても、今までと少しずつ変わってくると思う。
カジョールやアイシュといったトップスターが若さではなくキャリアでどのような演技をみせてくれるのか、それを最大限に生かせる作品が生まれるのか。このあたりに今後のボリウッドのヒントが隠されているような気がする。
*当記事はブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。