中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年05月31日
■上場はしたものの……公開価格を割り込む企業が続出
今回の中国IT企業上場ラッシュの中でも、最多の調達額を記録したのが人人網。上場初日は発行価格から30%上昇したものの、翌日以降は下がり続けることに。公開5日目には発行価格の15ドルをも割り込みました。人人網上場の翌日、網泰も新規株式公開を果たしましたが、初日で公開価格の20%減となりました。
新華社は「統計によると、5月中旬時点で今年すでに中国企業12社が米国で上場しているが、9社は発行価格を割り込んでおり、株価の平均下落幅は6.3%を記録した」と報じています。
さらに、「ここ8カ月で米国の資本市場に参入した中国企業36社のうち、上場初日の株価上昇率は平均21%。米国企業の平均伸び幅8%を大きく上回った。だが、上場1カ月後の株価は、公開価格をわずか4%上回る水準にとどまった」と指摘。米国に上場した企業の全体的な「力不足」を指摘しました。
(以上は北京娯楽信報を参照)
■中国ネットバブル崩壊の危険性
投資会社GGVキャピタルの創始者であるハニー・ナダ(Hany
Nada)氏は、「現在の評価額は高すぎる。中国のネット企業株は崩壊の危機をはらんでいると言えるだろう。中国のネット企業や投資家は、2001年の米ITバブル崩壊、2008年の金融危機を参照し、警戒するべきだ」と警鐘を鳴らしています(財新網)。
また、日本市場に上場した中国企業の株価も多くが下落しています。株価的に見て、「成功した」企業はほんの一握りです。中国ネット企業の時価総額は、実体を伴わないバブルになっているとといえるのではないでしょうか。このままの状態では、中国ネット企業の海外上場は成功が難しいと考えています。
中国国内ならば、政府によるさまざまな産業振興措置や企業活性化政策の恩恵をうけられます。つまり、中国企業は「温室育ち」なのです。豊富な資金に物を言わせたごり押しの企業戦略ではなく、真の企業体力をつかみとることができるかが、海外市場で生き残れる鍵のはず。この点を早く悟らなければ、中国のネットバブル崩壊は遅かれ早かれ到来するのではないでしょうか。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。