中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年06月02日
■中央財経大経済学院の虚偽宣伝が暴露される(2011/5/10新京報)
事件の荒筋は、財経大と投資家が共同で設立した中央財経大学経済学院の学生800人が騙されたというもの。
2008年の募集時にしていた説明では、
・4年全日制大学に準じた教育
・卒業時に合格すれば、中央財経大または関連大学の4年制卒業の証書(ネット教育)を発行する。
・さらに学士授与条件に合致した卒業生には、中央財経大または関連大学の学位を授与し、国務院発行の統一学位証書を発行する。
となっていました。通常の「高考」(全国統一大学入試)ではなく、「高起専」(短大に入るための試験)を受けるだけで、4年制大学の学位を取得できるというのだから、おいしい話です。
(記事だと、入学してから「高起専」の試験を受けたことになっていますが、あるいは試験なしで入学させた後、教育部の要件を満たすために試験させたのかもしれません。)
ところが、大学側は4月になってから、「4年制大学の卒業証書発行はできない、学生たちはネット教育大専(短大)卒扱いになる」と宣言。もし4年制大学の証書が欲しいならば、試験を受けて大学本科に転入しなおさなければなりません。今年編入したとしても卒業は最短で2014年。4年制大学の証書を取るためには最短でも5年間学校に在席する必要があります。
発表があってから、学生たちは学校側と3回にわたって話し合いを持ったものの結論は出ず、多くの学生が退学してしまっています。
■「我々の問題ではない」無視を決め込む教育部
大学に入りたいが入れなかった学生の弱みに付け込んだ、エゲつない商売。誇大広告をうたった当の大学宣伝部は「彼らは大学入試の落ちこぼれ。学力も低く当然専昇本(短大卒の四大への編入試験)は必要」と、当初の説明とはまるで違う回答をしています。
教育部担当者は「学校側の当初の宣伝に問題があった」と認めるものの、救済措置は考えていないようです。また、「募集を何人かけるか、学費はいくらにするかなどの細かい点は、全て大学が決める事で我々の問題ではない」とも。
中国高等教育学会継続教育分会の厳継昌・秘書長は、似たような詐欺まがいのサイトは既に100以上あったとしており、教育部も公安部も責任を取りたがらないために学生の訴えを聞くわけでもなく、半ば野放し状態だったことを認めています。
前例があってあれから結構な時間がたっているというのに、いまだ改善されていないというのが納得いきません。学生を増やして本科並みの学費を取れる大学側から、キックバックでももらっているかのようなにぶさ。
■中央財経大学生数百人が教育部前で静かに抗議(2011/6/1博訊)
学生たちもそう思ったのか、なんと教育部庁舎前で抗議集会を開きました。
北京市内の中心部にある教育部庁舎前に、事件を報じた新京報のコピーを持った学生がズラリ。動画を見る限り、数百名は言いすぎにしてもそこそこの数は集まったようです。目立った動きこそないものの、市内中心部でよく排除されなかったものです。
本科卒業生でも就職難の昨今、それよりさらに厳しい短大卒になってしまった学生たち。この手の詐欺ってなかなかなくなりませんね。
*補足(Chinanews)
海外留学でも「虚偽説明で大学に入ってみたら騙された!」というケースも少なくないようです。下記を参照。
「なぜ中国人は米国に留学したがるのか?―中国」(レコードチャイナ、2011年5月29日)
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。