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菅政権の沖ノ鳥島政策に中国が反発=日本の私欲を許すな―翻訳者のつぶやき

2011年06月03日

沖ノ鳥島に対する中国の野望

内蒙古自治区の騒乱などのニュースに目を奪われていますが、それとは別に留意すべき中国の動向があります。それは沖ノ鳥島問題での中国の対応です。

沖ノ鳥島問題に関する日中両国の主張や思惑など詳細については、記事「沖ノ鳥島を巡る動き」を参照してください。簡単にまとめると、現在、沖ノ鳥島は「島」なのか、それとも「岩礁」なのかをめぐり、日中で論戦が繰り広げられています。中国側は軍事的な観点から、沖ノ鳥島を領土と認めたくないとして、近年躍起になって論陣を張ってきました。

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*写真は西陸網の報道。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。


■菅政権、沖ノ鳥島での港湾及び道路の整備を決定

菅首相を本部長とする日本総合海洋政策本部は5月27日、沖ノ鳥島西側に港湾と道路を年内に整備することを決定しました。日本ではほとんど報じられなかったニュースですが、中国では扱いが違います。翌28日に環球時報が「日本が沖ノ鳥礁に埠頭を建設へ。中国側は抗議」と題する記事を配信。中国の各主要メディアに転載されました。

なお「中国側は抗議」という表題ですが、記事には中国当局が抗議したとは書いてありません。サーチナが、「中国が抗議」といった表題をそのままつけて日本語記事を配信してしまっていますが、それくらいわかりにくい記事であり、環球時報としては「中国は抗議すべきだろ!」といったニュアンスがこのちぐはぐな表題から読み取れます。
(関連記事「日本、沖ノ鳥礁に港湾施設建設へ 中国が抗議」サーチナ、2011年5月31日)


■中韓両国は沖ノ鳥島問題で協調?!

反日的なことをいろいろセンセーショナルに報じる環球時報ですから、「よくあるアジテーションかな」と思っていたのですが、6月2日、今度は北京青年報が「日本が再度埠頭建設へ。沖ノ鳥は『岩礁』にしかなり得ず」と題する国際問題観察員による論評を掲載。更に踏み込んで批判しました。

論評では、中国政府の沖ノ鳥島に関する従来の主張を繰り返した上で、以下のように批判。

「日本は資金を惜しまずに、この島の足場固めをして、『岩礁』を『島』に変え、実質上沖ノ鳥礁を人工島に変えようと試みている。人工島は排他的経済水域や大陸棚を有しない。」

「日本は『国連海洋法条約』の締約国であるにもかかわらず、国際社会の全体的な利益を省みず、沖ノ鳥礁に関する不当な主張を正当化しようとしており、典型的な私服を肥やそうとする行為である。」

「これは中日2国間の争いではなく、日本の私欲と国際社会全体の利益の矛盾である。責任ある国際社会のメンバーはすべて、国際社会の全体的な利益を擁護する義務がある。日本の沖ノ鳥礁における不当な主張について、近隣の中韓両国は明確に反対を表明している。」

「日本は沖ノ鳥礁問題におけるやり方が国際法に明らかに違反し、国際社会共通の利益を侵害しており、必ずや中国を含めたますます多くの反対似合いだろうということを、認識すべきである。」

あくまでも「国際社会の一員として日本に警告する」という論調ですが、少々厳粛すぎる論調からしても、その背後にある中国の野望が透けて見えます。新華社がこの記事を尖閣諸島関連の記事と同じ位置に置いていることからして、「日本に侵略された中国の領土」というメディアの認識が読み取れます。多くの日本人はここに「白々しさ」を感じ取ってしまうのではないでしょうか。

その野望を裏付けるかのように、中国最大のオンライン辞書サイト「百度百科」の項目「沖ノ鳥礁」には、「沖ノ鳥礁は中国固有の領土である」としっかり書いてあります。これは中国の最終的な「野望」を示したものであり、国内のコンセンサスなのでしょう。

日本政府は中国側の主張にしっかり反論し、国際社会が納得するような理論作りを形成していくべきです。


追記:
6月3日現在の時点で百度百科の「沖ノ鳥礁」の項目から、「沖ノ鳥礁は中国固有の領土である」という文言が削除されているようです。グーグル中国のキャッシュにはまだ残っていますが。(数日内にキャッシュが変わる可能性もあるのでご注意下さい)。

20110603_okinotorishima

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。

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