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ロシアの少子化事情=産休に困る企業と「3人目の子ども」を生ませたい政府―ロシア駐在日記

2011年06月06日

子供を3人産みなさい??

ロシアにある日系企業の日本人たちの話を聞いたことがあります。仕事の性質上、その会社の社員の多くは女性です。ロシア人の女性は優秀ですけど、困ることが一つだけあると、その方々が言っていました。それは仕事に慣れてきたかと思うと、女性たちに子供ができ産休をとることでした。あくまでも「産休」だから、後からみなさんしっかり復帰してきますけど、とりあえずは休むので穴があいてしまう。当然これでは会社としては困る。


Baby Emily / Kitt Walker


*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。


驚きの産休対策

そこで会社なりに色々な対策を考えたそうです。若い子じゃなくて30代後半ぐらいの人を中心に採用してみたました。けれど、それでも「産休問題」は解決されませんでした。しかし、試行錯誤の結果、会社は自分たちなりの「正解」を見つけたそうです。

一体、それは何だと思いますか?

実は、子供が二人いる女性たちを中心に採用することでした。今のロシアは子供が三人もいる家族は少ないので、会社としては高い確率で「産休問題」を防げるのだそうです。これは日系企業の話ですが、おそらくロシアの会社も同じ考えだと思います。「解決策」は同じかどうかはわかりませんが。


■「3人目を生もう」の公共広告

そういえば、この「子供3人」についてこの前興味深いニュースを見ました。ロシアのある町の道路沿いに一定間隔で下記の公共広告が掲げられているそうです。

Они родились третьими
(彼らは3番目に生まれている)


そして、各看板に1人ずつ3番目として生まれたロシアの偉大人物の写真があります。ちらっと見えただけなので間違っているかもしれませんけれども、確か、日本でもよく知られている作家チェーホフ(А.Чехов)、20世紀前半のロシアを代表する詩人アフマートヴァ(А.Ахматова)、人類初の宇宙飛行士ガガーリン(Ю.Гагарин)などの写真があったように思います。

これらの名前を見ると、なるほどと納得します。「子供が一人(または二人)で十分だ」と親が思っていたら、ロシアそして世界の歴史と文化は違うものになっていたのかもしれません。こうして会社は「3人目はないだろう」と期待している一方で、国は「ぜひ3人目も!」と呼びかけているようです。なんだか、正反対の立場という点が興味深いと思い、ここで取り上げました。
(ロシアの少子化問題については、記事「二人目出産に補助金支給=少子化が進むロシアの子育て支援」を参照)
 
タチアナは子供を二人とも日本で産みました。2回とも職場(一人目のときは大学、二人目のときは会社)に対して非常に申し訳ない気持ちでした。ロシアでは結婚、出産を機に仕事をやめる女性はめったにいませんので、周りは日本人よりは産休に「慣れている」とは思います。しかし、ロシア人の知り合いたちの話を聞く限りでは、やはりロシアの会社でもいい顔をされることはまずないようです。仕事の世界は厳しいことはわかっていますけど、働くお母さんたちに対してもうちょっとやさしい世の中になるといいなと思います。

*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。


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