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チャイナマネーの流れが変わった?株式市場の低迷―中国

2011年06月05日

減速傾向が明確化してきた中国経済。その要因はインフレ対策として政府が経済、金融の引き締め姿勢を明確化していることにある。

2008年の金融危機後、中国は4兆元(約50兆円)の大型経済対策を発表。「世界で最も早く危機から脱した」と自画自賛していたが、ここにきて「あの4兆元で金をジャブジャブにしたことが今のインフレにつながっているのでは」との恨み節も聞こえてきた。


New York City - Lower Manhattan "Wall Street Bull" / David Paul Ohmer



■株式市場は「熊市」に

2011年5月30日、報告書『中国都市“個人投資家”健康状況報告』が発表された。37万人超の個人投資家へのアンケート調査の結果をまとめたもの。約 半数の個人投資家は睡眠時間は1日5時間以下と開かしている。また60%以上が現在の「熊市」(弱気相場)に悩まされていると回答した。なるほど、ここ1か月あまり、中国株式市場は下落が続いている。6月3日現在の株価は、4月18日比で10.57%下落した(5日付証券市場紅週刊)。

株価低迷は資金が別の投資先に向かったことを示している。6月2日付深圳商報は記事「現在、中国の資金は どこに向かっているのか?」を掲載。インタビューに応じたモルガン・スタンレー中国地区世界マーケット業務の李晶主席は、金融引き締め及び不動産市場規制策により資金の流れが変わったと指摘。

現在では(1)香港、東南アジア、米国などの海外不動産、(2)インゴッドや宝飾品などの黄金、(3)旅行などの娯楽産業が資金の行き先 になっていると分析した。旅行は投資ではないが、今の不安定な時期に投資するぐらいならば、消費に回したほうがましという判断が働いているのだという。


■大口株主による売却が相次ぐ

株価下落が続く中、中国市場上場企業の大口株主の持株売却が相次ぎ、注目を集めている。4日付中国通信網によると、過去1か月弱の間に大口株主62人が計6億6000万株を売却している。

そうした中、疑惑がささやかれているのが漢王科技の第2位株主・上海聯創による持株売却。4月1日から5月31日までの2か月で、同社全株式の4.98%にあたる2億5000万株を売却した。この間に前年から大きく悪化した業績の発表があったほか、ホットマネーによる介入による株価の反騰もあったことから、不審な動きではないかと見る人もいたようだ。3日付南方週末が伝えた。

漢王といえば、中国電子書籍リーダー最大手。大々的な宣伝攻勢をかけ、市場そのものを大きく拡大してきたパイオニアだ。ところが昨年末から販売台数が急落。漢王ばかりか、電子書籍リーダー市場自体の先行き自体を危ぶむ声も上がっている。この事情については、ITライター・山谷剛史氏の記事「中国でまさかのマイナス成長! 電子ブックリーダーに未来はあるか!?」に詳しい。


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