先日公開した記事「
領土問題で中越対立、ベトナムは米国を後ろ盾に強硬姿勢」では、スプラトリー諸島(南沙諸島)領有権問題で火花を散らす中国とベトナムについて取り上げた。なにかと自国政府に批判的な人が多い両国ネット民も、領土問題とあっては自国政府の立場を支持している。
きな臭い局面が続くだろうと予想していたが、想像を超え、すでに戦火は交えられていた。ベトナムハッカーVS中国紅客(愛国ハッカー)による「中越サイバー戦争」の火ぶたは切って落とされた。
■ベトナム・ハッカーの攻撃
上記画像はベトナムハッカーにハッキングされた中国網通北京のADSL申し込みサイト。ニュースサイト「駅長の家」によると、このほかにも地方政府のサイトが次々とハッキングされ、トップページを書き換えられているという。さらに一般のサイト、ネット掲示板も攻撃対象となっているようだ。
画像には
「ベトナム人民は海を、空を、そして国を守るために喜んで犠牲になろう。」(中国語)
「パラセル諸島とスプラトリー諸島はベトナムのものだ。」(英語、ベトナム語)
「主権を絶対防衛!中国の侵略者の犬頭をぶっつぶせ!」(中国語)
などのメッセージが書かれている。
■中国紅客も戦線に参加
もちろん中国の愛国ハッカー(紅客)も黙ってはいない。ネット掲示板のスレ「
中国紅客たちがベトナムに大規模なハッキング攻撃をかけた」によると、20以上のベトナムサイトが「404エラー」(未検出)に追い込まれている。アドレスを見ると、「gov」ドメイン、つまり政府関係サイトも少なくないようだ。
*ネット掲示板に掲載されていた、書き換えられたベトナムのウェブサイト。
■ベトナムの反中感情、中国の反越感情
ベトナムの愛国ハッカー(?)についてはよく知らないが、中国の紅客といえば非常に有名。
日本の靖国神社ウェブサイトもハッキングされたことがある。正常運転といえなくもないが、上記ネット掲示板であげられているハッキングサイトリストを見ていると、「サイバー戦争」は相当の規模になっているようだ。
またマイクロブログなどを見ていても、中国人の反ベトナム感情は広がり始めている。ベトナムでは中国以上の盛り上がりを見せているのではないか。今後しばらくはベトナムをはじめとする東南アジア諸国と中国との緊張は続くと見られるだけに、国民感情の悪化は続くことになるだろう。
でも、南沙諸島や西沙諸島でドンパチやられても困るし。
しかし、せっかく中越戦争のことを忘れようとしている時に・・・。