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「もともとペットと人の関係だった」チベット事件が暴いた偽りの愛情―チベットNOW

2011年06月13日

ウーセル・ブログ「元々、ペットと人の関係だった 」

今日もチベタン・マスティフに関わる話です。ところで、かのムツゴロウさんも20年近く前にこの犬に会いにチベットにまで行ったことがあるそうです。ブログ「チベット式」が取り上げていました。

チベット犬といえば「ムツゴロウさん」だよな♪(チベット式、2005年5月8日)

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*写真はウーセル・ブログより。

ということで、以下はチベット人作家・ウーセルさんの2008年6月24日付け記事を紹介します。

*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。

原文:元々、ペットと人の関係だった

文/ウーセル
翻訳/雲南太郎(@yuntaitai)さん

2008年3月の「チベット事件」以降、最も大きな変化の一つに、チベット人と漢人の関係、つまり中国でのチベット民族の地位の問題があげられる。


■チベット人と漢人の“幻想”の愛情

漢人を主体とする中国人とチベット人の関係が事件後のように明るみに出たことは今までなかったと言ってもいい。それまではベールに覆われ、はっきり見えず、とても美しいもののように見せられていた。

チベット人の多くは、「中国、55の少数民族の中で最も地位が高く、最も漢人に好かれているのは自分たちだ」「ウイグル人よりも好感を持たれている」と得意がっていた。トゥルクや僧侶は頻繁にチベットと漢人地域を行き交い、漢人の弟子を受け入れ、漢人の師になって満足していた。

また、中国人にはいわゆるチベット好きがたくさんいる。このうち一部は「蔵漂」(ラサなどでたむろしている中国人ヒッピー)を自称し、チベットで数年暮らさなければ人生の意味はないと言わんばかりだった。2006年にラサまで鉄道が開通した時、中国全土が青蔵高原に心を揺さぶられ、誰もがポタラ宮に行きたいと思った。とても長い間、民間のチベット人と漢人の双方には、真相を完全に隠せはしないものの、深い愛情があふれていた。


■チベット人への愛=ペットへの愛

しかし、3月の「チベット事件」以降、真相を覆っていたベールは取り払われた。元々チベット人の多くが満足していたのは、55の少数民族のうち、比較的かわいがられているというだけの地位に過ぎなかったのだ。

これはいわばペットをかわいがるようなもの。中国でのチベット人が持っていたのはペットの地位に過ぎなかった。チベットに対する事件前の熱烈な愛情と事件後の憎しみは、とてもはっきりと証明している。いわゆる熱烈な愛情はペットへの愛情に過ぎなかった。

青蔵高原の最も有名な動物で、とても珍しくて貴重なチベタン・マスティフと同じだ。中国の富裕層や風流ぶった人たちは争うように大枚をはたいてペットにし、毎日たくさんの肉を与える。しかしある日、チベタン・マスティフは突然かんしゃくを起こし、元々の主人ではなかったこの主人にかみつき、憤慨されて殺されてしまう。中国の新聞にはいつもこうしたニュースが載っている。これはまさにチベット人と中国人の関係だ。これこそ中国社会の民族間の基本的な関係だ。


■「チベット事件」が与えた衝撃

チベット人がもしペットの地位に甘んじるのなら、漢人はそれならいいだろうと言って、以前と同じ深い愛情を持ってチベットに接してくれる。チベットへの「熱愛」を続けるのは、好きな猫や犬などのペットに喜んで餌を与えるのに似ている。しかし人はペットではない。ペットに自分の意志はないが、人には自分の意志がある。チベット人がペットになることを望まないのは、自分を失うことにつながり、最後にはチベットを失うからだ。

だから、チベット人がペットの地位に満足しなかったり、ペットの運命を受け入れず、人としてチベット人として勇敢に抵抗したりするだけで、面倒な事態をひき起こしてしまうだろう。実際、もう面倒な事態になっている。例えば逮捕されたり、監禁されたり、虐待されたり、虐殺されたりすることまである。これは国家の懲罰を受けるということだ。民間の漢人について言えば、彼らの変わり身の速さも真相を教えてくれる。チベット人は人にはなれないというのが事の真相だ。人になろうとすれば死地に追いやられるだけだ。

実際のところ、ウイグル人は早くからこの結末を迎えていた。チベット人とウイグル人は本質的に同じで、この漢人主体の国家では平等な地位は全く得られない。3月以来の「チベット事件」はこの事実を明らかにした。ずっと純朴で現状に満足してきた多くのチベット人にとっては大きな衝撃だ。別の角度から言えば、とても貴重な教訓だ。

2008年6月2日昆明にて

(RFAから転載)

関連記事:青海地震に表れた火事場泥棒=盗まれたチベタン・マスティフの行方―チベットNOW (KINBRICKS NO、2011年5月27日)

*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。

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