中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年06月13日
■ベトナム人に広がる反中感情
2011年6月8日付NOWnewsによると、ベトナムの有名女優・La Thanh Huyen(吕青玄)さんがベトナム人ネットユーザーに批判される事件が起きた。先日、Laさんは中国を訪問。ある外資系企業が主催する国際会議に出席した。その際、花柄のチャイナドレスを着用したが、ネットユーザーからは中国の対立が深まっている時期に着るべきではないと批判された。
先日、記事「中国VSベトナム、サイバー戦争が開戦=政府関係サイトがすでに陥落」で、愛国ハッカー同士の戦いが始まったことを取り上げたが、コアなハッカーのみならず一般市民の間にも反中感情が急速に広がっているのではないか。12日にはハノイとホーチミンでベトナム市民による抗議デモも起きている。南シナ海問題での反中デモは2週連続。
■中国の「平和的台頭」は失敗に終わるのか?
一方、中国でもベトナム批判が強まる気配が見られる。その起爆剤となりそうなのが、13日にベトナムが予定している実弾演習だ。昨年、北朝鮮による韓国哨戒艦爆破事件を受け、黄海で米韓合同軍事演習が開催されたが、「中国の裏庭である黄海に米空母が侵入するとは」と中国では大変な盛り上がりとなった。
今回の実弾演習は昨年の記憶を刺激するもの。ベトナムはグエン・タン・ズン首相までもが「(南シナ海の)主権について議論の余地はない」と明言するなど強硬姿勢を示しており、ネットには「小国のくせに」と反発する声が多く見られる。
「平和的台頭」を掲げ、その経済力で東南アジアの取り込みを図ってきた中国だが、今回の問題が長期化すれば、ベトナムの一般市民に強烈な反中感情を植え付けるという大失点となりかねない事態だ。