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2011年06月14日
■北京で開催された紅歌コンサート
重慶の紅歌は北京へ届く=薄熙来が鑑賞(中国新聞社、2011年6月11日)
「紅歌を万世に語り継ごう」と題された建党90周年の一環となる今回の演奏会。重慶で繰り返し開催されている紅歌コンサートを北京朝陽劇場、清華大学講堂、全国政協講堂など北京市内の7ヵ所で開くという大規模なものです。
ところが奇妙な点が2つあるのです。第一に北京で開催されたイベントにもかかわらず、情報ソースが「重慶の公式発表によると」と説明されていること。第二に出席者に薄熙来以外の大物、政治局委員以上の名前が見当たらない点です。
上記写真を見れば、薄熙来が出席者の最高位であるのは間違いありません。出席者リストに目を通したところ、閣僚級が数人出席したとありましたが、いずれも薄より格下ばかりです。
■常務委員は何をしていたのか?
では、常務委員は何をしているのか。胡錦濤(中央アジア)、賈慶林(福建省アモイ市)、習近平(ラテンアメリカ)、李克強(山西省)の常務委員4人が、外遊や出張で北京を離れています。
温家宝は紅歌を後押しする薄を「文革の残滓」と批判した経緯がありますから欠席してもおかしくないのですが、宣伝担当の李長春、劉雲山や劉延東あたりがこの手のイベントに出席していないというのはどうにも理解できません。
(関連記事:「政局に不穏な空気=メディアは温家宝発言を“無視”、反論のみ報道―中国コラム」KINBRICKS NOW、2011年5月7日)
当日北京にいたであろう呉邦国や周永康も欠席しています。北京で開催された建党90周年のイベントなのに、常務委員が全員欠席しているというのはどうにも違和感が残ります。
このイベントは6月11日から19日までと既に先月には日程が決まっていました。それより重要な外遊やアモイの台湾イベントを優先した3人はともかく、残りの6人は北京にいたはずなのに、常務委員全員が示し合わせたように欠席というのは何らかの意図があるはず。
■革命歌は薄熙来の勝利宣言なのか?
薄熙来主催のイベントで北京にまで切り込まれているのに、格上の常務委員が誰も来てないのですから、薄熙来に花を持たせたのではないかと考えます。北京で開催されたイベントで、薄熙来の名前が最初にコールされるというのはなかなかの厚遇と言えましょう。
ライバルに先駆けて政治局常務委員入り一番乗りを決めた勝どきなのか。まだまだ予断を許しません。
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。