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2011年06月18日
■中国が巡視船派遣を発表→フィリピンはフリゲート艦で対抗
15日、中国新聞社は中国の新鋭巡視船・海巡31がシンガポール訪問のため出港したことを報じた。途中、南シナ海を経由。巡視活動や石油採掘プラットフォームの監査などを実施するという。
(記事「一気にきな臭さを増してきた南シナ海」中国語翻訳者のつぶやき、2011年6月16日を参照)
ラジャ・フマボンの派遣については、Batac報道官は「定期任務だ」と発言。中国への対抗措置ではないと主張しているが、南シナ海をめぐる一連の駆け引きの一つであることは間違いない。
■アザートン→はつひ→ラジャ・フマボン
このラジャ・フマボンだが、実はウィキペディア日本語版にも項目があるほどの有名な艦艇だった。1943年、米国海軍の駆逐艦アザートンとして誕生。第二次世界大戦を戦った。1945年5月にはドイツの潜水艦U-853を撃沈する戦果も挙げている。
1945年12月に退役。その後は予備艦として保管されていた。1955年より日本に貸与され、護衛艦「はつひ」と名を変えた。20年後の1975年に除籍、米国に返還された。1978年に今度はフィリピン海軍に提供され、一度は退役するものその後復帰。2011年現在もフィリピン海軍最大の戦闘艦として活躍しているという。
*1943年、キャノン級護衛駆逐艦アザートンとして竣工。米海軍で活動。
*1955~75年、あさひ型護衛艦「はつひ」として自衛隊で活動。
*1976年~フィリピン海軍にて活動中。
建造から68年、今なお現役というのも驚きだが、元海上自衛隊が中国とにらみあうため南シナ海に出撃というのはなんとも不思議な因縁だ。