中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年06月18日
あるいは、日本の『タクシー幽霊』とアメリカの『消えたヒッチハイカー』のように、偶然にも内容が酷似しているだけなのかもしれません。 しかし話を知っている身としましては、前編の『紅いチョッキ』はやはり稲川淳二先生の『赤い半纏』の焼き直しとしか思えません。
そのような視点で再び中国の都市伝説を調べてみますと、日本の都市伝説や怪談、そして2chのオカルト板発祥の怖い話が原型と思われる話が他にも見当たります。
例えば……。
『何を見たかわかった』
(参照:我知道儞看見什麼)
古い女子寮に住む2人の女生徒。肝試しとして、首吊り自殺者が出た部屋に行ってみた。しかし部屋には鍵がかかっていて扉が開かない。そこで1人が鍵穴から部屋を覗いてみたが、中は血のように真っ赤で何も見えない。
「なんでこんなに赤いの?」
彼女の呟きを聞いたもう1人の女生徒がその場に崩れ落ちた。そして真っ青な唇を震わせてこう言った。
「先輩が言ってたんだけど、その首吊り自殺をした女の子って、死んだとき目が真っ赤に染まっていたんだって」
『女子トイレ』
Toilet / dearbarbie
(参照:女舎底厠)
とある大学の女子寮でのこと。真夜中、女生徒が寮の共用トイレに入り用を足そうとすると、後ろから白と黄色のわら半紙をつまんだ手が伸びてきた。
「1枚選べ」
背後から不気味な声が聞こえる。彼女は言われるがまま白い紙を選んだ。するとまた背後で
「白は3日、黄色は7日」
と声がしたかと思うと、それっきり何も聞こえなくなった。
部屋にもどった彼女はルームメイトたちにさっき遭遇した出来事を話すが、みんな信じてくれない。結局誰かのいたずらだと言うことになり、彼女もそれで安心した。
しかしそれから3日後、彼女は突然急死した。死因は不明である。
『紅いベスト』この怪奇現象の決め台詞、原文では「我要給儞穿上一件紅背心」(お前に紅いベスト着せてやる)と書かれているので、ここは稲川先生風にしても差し支えないでしょう。
red pvc vest / iluvrhinestones
(参照:紅背心)
満月の晩のこと。とある警察学校の生徒2人、いわば未来の巡査長と婦人警官が川原を散歩していた。風が吹いてきて木々の葉がかさかさと音を立てている。そこで彼らは風を避けようとたきぎ小屋の壁に隠れた。
気持ちを昂ぶらせる2人のところに、木造小屋の板壁の隙間から甲高く震える声が聞こえてきた。
「あか~いベスト~着せましょか~」
婦人警官は飛び上がった。誰かが盗み聞きしていたと思うと怒りを抑えきれない。
「誰!どこにいるの!出て来なさい!!!」
と冷静さも失って叫んだ。
しかし返事はない。
「誰!!!」
ともう一度叫ぶ。
男は少し怖いのか、それとも人気のない壁の隙間に向かって怒鳴っている彼女を見たくはないのか、
「聞き間違いだよ、誰もいないよ」
となだめたが、しかし彼も本当はその声を聞いていたのだった。
部屋に蚊のように小さな笑い声が響く。婦人警官は更に怒り狂って
「アイツを捕まえて!」
と叫ぶ。だが男は声も出せず冷や汗をかいたままだ。
女は拳銃を取り出すとボロボロの門を蹴破り、小屋の中に入った。一瞬人影が見えたがすぐに暗闇に隠れてしまった。
男は門の前で一言も発さず女を待った。辺りは死んだように静かだ。
すると、狂気染みたしゃがれ声が聞こえた。
「あか~いベスト~着せましょか~」
そして鋭い銃声が夜の空を引き裂いた。
女を呼ぶが返事がない。男が小屋に入ると生臭い臭いが鼻を突いた。
女は死んでいた。壁に寄りかかり、手には銃が握られている。しかしその銃弾は彼女の喉を打ち抜いていた。彼女の制服は鮮血で真っ赤に染まり、それはまるで紅いベストのようだった。