中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年06月19日
「貧乏人には棺桶無料プレゼント!」とか言われると、「嫌がらせか!死ねってことか!」と反発したくなりますが、実はまじめな政策なのです。記事「死後の世界も格差社会?!お金がないと無縁仏になっちゃう……と大騒ぎに」でも紹介しましたが、最近の中国では「お墓が高くて買えないよ!」というのが社会問題に。
さらにお墓だけじゃなくて、葬式代やら火葬代やらなにかとお金がかかります。今年5月にあった不思議な事件は、「火葬場で販売されているぼったくり骨壺事件」。江蘇省呉江市の火葬場では、同所で販売している2500元(約3万2500円)もする高級骨壺を使用するよう遺族に強制していたのですが、「高すぎるからマイ骨壺を持ち込むよ」と言った市民をぼこぼこにするというわけわからない事件も起きています(5月18日付中国広播網)。
「棺桶無料プレゼント!」を定めた広東省政府の「全省の埋葬基本公共サービス強化に関する意見」が成立した背景には、貧乏人に「死不起」(死ねない)問題がありました。
なお、無料となるのは棺桶だけではなく、自宅から火葬場への搬送、火葬場での別れの儀式、火葬、遺骨の保管などの基本サービスすべてだそうです。気になるお墓問題については公共墓地の増設を進めると同時に、樹葬、海葬など土地節約型埋葬の啓蒙を強化するとのこと。
どうにも不思議な内容ですが、中国に生きる人々にとっては切実な悩みということでありました。