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【広東省暴動】密告すれば戸籍をやるぞと警察=あからさまな「美談」で融和演出―中国コラム

2011年06月21日

機関紙から聞こえる増城市当局の悲鳴

村の治安要員が妊婦を暴行した事が発端となり、連日の暴動に発展した広東省広州市増城市。鎮圧宣言は出ましたが、こういう記事が出てくるのを見ると、まだまだ当局は警戒を緩めていないようです。短いので、一気に訳出してみます。

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*写真は中国茉莉花革命発起者より。


*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


■密告すれば戸籍と報奨金を与えよう

増城市公安局通告(増城日報、2011年6月19日)

2011年6月10日以来、違法分子が集団で騒動を起こし、社会に悪質な影響を与えている。治安維持のため、公民の身体と財産を守るため、法に基いて各種の違法な犯罪について厳しく攻撃する。通告は以下の通り。

・集まって公共の場の秩序を乱し、国家治安員の公務に反抗し、国家機関に集まって襲撃し、暴力や威嚇で国家機関職員の公務を妨害し、公共の場で騒いで他人 を殴打し、財産を傷つける違法な犯罪者に対して、『中華人民共和国刑法』、『中華人民共和国治安管理処罰法』などの法律規定に基き、法的責任を追及する。

・公安機関は、違法な犯罪者に速やかな自首と、犯罪行為について自白し、寛大な処置を得るよう促す。

今回の集団騒動に関する手がかりを提供し、違法な犯罪者を捕らえて公安機関に引渡した事が実証されれば、実情によって人民元5千元(約6万2000円)から1万元(約12万4000円)の奨励金を与える。

出稼ぎ労働者が通報し、成績が優秀であれば、「優秀外来工(出稼ぎ労働者)」の称号を獲得し、増城市の戸籍を与える。(以下略)

現場が依然として「犯罪分子に」警戒しなければならない状態であると物語っていると共に、出稼ぎ労働者の内部分裂を誘う「都市戸籍」という報酬が目を引きます。


■「美談」で盛り上げる現地人と四川出稼ぎ農民の融和

『増城日報』は前日の通告が嘘のような美談を翌日に掲載しています。さすが市の機関紙。

和諧安定の家庭(増城日報、2011年6月20日)

「私の母は障害者で、父親も健康ではありません。2010年、中山大学の合格証書を手にしたものの、家族は喜び半分でした。私の学費に思い悩んでいた頃、四川 出身の方が5千元(約6万2000円)の学費を私に送ってくれ、私の夢を応援してくれたのです。」
社区に住む高俊昇は興奮気味に話す。
(以下略)

彼らが同居する匯美社区は「地元の人間でも、出稼ぎ労働者でも同一視します」という、かなり虚構めいた発言が、四川からやって来て一山当てたと思われるおっさんから出ています。

現地は未だに武装警察などが警らに当たっており、工員も広州市中心部などへ逃げ出しているのが伝えられており、匯美社区とは程遠い状況。記事が掲載された3面に、やたらに良い印象を振りまいている写真が配置されているのは、その辺を払拭したい狙いもあるのでしょう。

公式のストーリーでは「出稼ぎ労働者と地元住民の間に衝突は無かった」ので、両者の「和諧安定」を強調する必要ないはずなんですが、この支離滅裂加減が増城市の現状を表しているのかもしれません。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

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