中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年06月21日
■ユダヤ人、アフリカ系移民、そして中国人……ベルヴィルの移り変わり
ベルヴィル地区は一次大戦後、東欧から逃れてきたユダヤ人の集住地となったが、1960年代以降は北アフリカの移民たちが暮らす地域となった。そしてここ10年ほどは中国系移民による商店が並ぶチャイナタウンとなった。
異なる文化、信仰を持つ移民たちが集うベルヴィル地区。その治安は悪化するばかりだ。中国系の妻を持つというフランス人・Jean-Pierre Buissonさんは取材に答え、「チンピラたちは明らかに中国人を狙っている。というのも中国人の多くが正規の在留許可を持っていないため、警察に通報できないことを知っているからだ」と批判した。
なお、昨年6月にも中華レストランが暴徒に襲われ、中にいた華僑が銃で反撃するという騒ぎが起きている。警察がその華僑を逮捕したため、20日には中国系住民による治安改善のデモが起きた。
*画像は鳳凰網の報道。
■中国人女性を狙った性的暴行は日常茶飯事……シラク大統領の養女が批判
その1年後となる今年も大規模なデモが起きたわけだが、そのきっかけとなったのは2つの事件。ある中国系住民が強盗事件の現場を携帯電話のカメラで撮影したところ、その犯人に暴行され重傷を負った。もう1件は5月31日に中国系住民の夫婦が経営する卸問屋が襲撃されたことだ。
ベトナム系難民の出身でシラク大統領の養女であるアンダオ・トラクセルさんもデモにかけつけた。今回のデモにフランスの議員は参加していないと指摘し、政府が治安を重視していない表れだと痛烈に批判した。
彼女によると、ベルヴィル地区では毎日のように中国人女性を狙った性的暴行事件が起きているという。当局はそれらのチンピラが起こした婦女暴行事件についてほとんどとりあっておらず、治安悪化の要因になっているという。