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2011年06月24日
■中国の言論統制強化
その艾未未氏は今年4月、北京首都国際空港で突然、拘束された。後に脱税容疑での取り調べだと当局は発表したが、今年に入って以来続く言論統制強化の一環と見る向きが強い。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、今年2月以来、130人以上もの人権活動家、弁護士、ブロガー、基層ネット民が嫌がらせを受けたり、拘束、軟禁されているという(アムネスティ・インターナショナル)。
22日、その艾未未氏が突然、保釈された。「容疑を認めたこと、追徴課税を支払う意志があること、健康問題があること」が事由とされているが、中国政府の意図についてさまざまな憶測を招いている。
■中国政府の狙いはいずこに
23日の外交部定例記者会見では、「温家宝首相の欧州歴訪前に国際的圧力を軽減させる狙いがあったのでは?」と質問されたが、洪磊報道官は「中国の司法機関は法律に基づいて行動する」と返答。観測を否定した。なお外交部ウェブサイトの定例記者会見記録には艾未未氏がらみの応答は掲載されていない。
中国政府の意図。本当のところは「藪の中」ということになろうが、個人的には「二正面作戦を避ける」という中国お決まりの外交方針ではないかと考えている。南シナ海問題を抱えベトナムやフィリピンとの緊張関係が続くなか、米国にこれ以上中国バッシングの口実を与えたくないという配慮が働いたのではないだろうか。
もちろん、温家宝首相の英国、ドイツ、ハンガリー歴訪にとっても「安上がり」な手土産となりそうだ。もっとも、ギリシャ危機に苦しむ欧州だけに、最も期待されている手土産はギリシャ支援策となるはず。人権問題はその影に隠れるのではないかと予想しているのだが……。