中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年06月28日
ヴォルガ川から見るマカーリー修道院はとても印象的で、ロシアの昔話やプーシキン童話にでも出てきそうな光景です。修道院まで本当はニジニ・ノヴゴロドか
ら遊覧船で行けるのですが、私たちが行こうとした日には定員40人が集まらなかったため、休航となりました。しかし、私たちはあきらめきれず、
Лысковоとい町まで車で約90キロ走って、そこからマカーリーまでフェリーで渡りました。
*フェリーの中。
フェリーの料金は、車1台400ルーブル(約1200円)、大人1人28ルーブル(約90円)でした。「人間」の料金は車よりずっと安いので、チケットの有無は車の分しかチェックされず、人間の分はかなり適当でした。
*フェリーから見た景色。
フェリーに乗って35分。とうとう到着です!
フェリーを降りるととてものどかな雰囲気に包まれます。フェリーのすぐ横に牛たちが水を飲んでいるし、道路のあっちこっちに牛の糞が落ちています。
観光客がけっこう来ているようですけれども、村は観光地としてまだ開発されておらず、喫茶店などもないし、売店もソ連的な仕組みです(店の中は狭くて暗い。品物はお店の人に頼んで棚から取ってもらう売り方)。「ビジネス」の観点から考えると、「まだまだですね~」と言いたくなるかもしれませんけれども、タチアナにとってはなつかしい雰囲気で、とても気に入りました。村の住民たちがどう思うかわかりませんけれども、ここをずっとこのままで残してほしいなと、私は勝手に思いました。
*村の様子。
マカーリー修道院は15世紀に作られました。モンゴル人たちに荒らされたこともありますけれども、ヴォルガ川の便利な場所に位置しているということもあり17世紀からярмарка(市場)の場所として栄えるようになりました。当時修道院の壁沿いでにぎやかに商売が行われていたそうです。しかし、1817年になってярмаркаはニジニ・ノヴゴロドに移り、マカーリーは徐々に時代の流れから取り残されていってしまいました。
*昔、ここはロシアで一番大きな市場だったとは信じられない……。
ソ連になってからマカーリーは修道院としての機能を完全に失ってしまい、児童養護施設として使われたり、戦時中病院になったり、倉庫として使われたりしてました。教会のフレスク画の多くはペンキで塗りつぶされてしまいました。しかし、1991年からマカーリーは再び修道院として使われるようになりました。修復作業が今も進行中で、修道院が徐々にきれいになってきているのがわかります。修復工事の際、教会の天井のペンキをはがしフレスク画の修復を試みたらしいのですが、フレスク画がペンキと一緒にはがれてしまうので残念ながら無理でした。
旅行当日は33度の暑さでしたけど、この地域は日本と違って空気が乾燥しています。それに、村ではアスファルトより緑の方が多いし、ヴォルガ川もすぐそばなので、案外過ごしやすかったです。
帰りに売店でアイスクリームを買いました。食べた後ゴミを捨てようとしたのですが、ゴミ箱を牛があさっていたのでゆうくんはすっかりビビってしまいました。牛だろうが野良犬だろうが怖いもの知らずのりなは終始ご機嫌でした。
帰りもフェリーに乗りました。
今回、ロシアの田舎に久しぶりに行った気がします(モスクワと比べたらニジニ・ノヴゴロドも田舎ですけど(笑))。ロシアの名所も大自然も一度で満喫したい方にはぜひお勧めの場所です!
*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。