中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年06月30日
もちろんマクドナルドは中国でもそれなりに本気なわけで、「現在1300余の(店舗)を有し、2013年には現在の店舗数と合わせて2000店舗
にする予定」だという。しかし20数年前のほぼ同時期に中国市場に参入したケンタッキーは現時点で既に3000店舗以上を展開しており、マックはそれなり
に善戦しているものの、本気度の違いは歴然としている(人民網)。
(参考:「「朝マック」に見る、中国外資系外食産業の本気度」富史の中国ビジネスなう、2011年4月25日)
米国で1位のマクドナルドが7位のケンタッキーになぜ負けてしまうのか。中国ニュースサイト・中金在線はマクドナルドの「中国の消費者の嗜好を全く意に介さない意固地さ」をその理由として挙げたが、これを中国でお決まりの米国批判として一蹴することはできない。なぜなら米国・ワシントンポスト紙もケンタッキーが「中国市場でこれほど成功したのは、現地に合わせた経営を心がけているから」だと紹介しているからだ(レコードチャイナ)。
実際「ケンタッキーはひたすら中国に合わせる道を選び、油条(中国式揚げパン)や皮蛋入りおかゆといったサイドメニュー、はては麻婆豆腐丼などのメインメニュー」まで出しているほどだ。
*17.5元(約250円)セットはローストチキンサンド+ローストチキン2本+ペプシコーラ(中)。北京ダックがコンセプト?
そんなに中国に合わせるなんて、と思われるかもしれないが、中国ではこの「外資企業の中国化の成功の実例」が好意的な評価を受けている。ケンタッキーフライドチキンを傘下に収める米ヤム・ブランズ(百勝全球餐飲集団)の中国事業部・蘇敬軾CEOは、「お客様が飲食店側の欧米化ではなく多様化(この場合は中国化)を喜ぶのであれば、成功のカギは実際にそうできるかどうかということだ」と述べたという(新華網)。
そして中国が米国の4倍以上の人口を有する巨大市場であることを考えれば、この「外資企業の中国化の成功の実例」が、グローバル化の進む世界における中国市場を基盤とした成功の実例でもあることを認めざるを得ない。
日本人からすればケンタのチキンバーガーの方がマックのチキンバーガーより美味しいのはそりゃ当たり前ぐらいの話かもしれないが、中国人からすれば中国式鍋料理チェーン大手の小肥羊集団を買収しようとしているケンタッキーでいつ羊肉ハンバーガーが食べられるのか(中国人は豚肉に次いで羊肉を好んで食べる)が早くも話題となっており、ケンタは実際にそこまでやるに違いない(無錫商報)。
*当記事は5月16日付ブログ「富史の中国ビジネスなう」の許可を得て転載したものです。