中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年07月02日
■頭蓋骨が冷蔵庫に入るまで
2010年10月26日、山東省臨沂市莒南県で交通事故が起きた。バイクに乗って帰宅中の劉徳軒さんは、別のバイクと正面衝突。事故当日は症状は見られなかったが、翌日から容体が急変した。県病院で診てもらうと、脳内に水がたまっていることが判明。ただちに頭蓋骨、およそ全体の3分の1を取り外す手術が行われ、たまった水が抜き取るなどの治療が始まった。
県病院での治療が始まって10日、治療費は3万元(約37万5000円)を越えたが、容体は回復しない。病院は「完治までには10万元(約125万円)以上かかるでしょう」と無情にも宣告した。親戚から金を借りてもそんな金は捻出できない。仕方なく劉さんは退院し家に帰った。もちろん頭蓋骨は外されたままだ。。病院から返してもらった頭蓋骨は、ご近所の冷蔵庫にしまってもらった。
それから今年6月まで、劉さんは自宅で寝たきりのままだった。妻はずっと前に家を出たきり。まだ12歳の息子・洪周くんが一人で劉さんの世話を続けた。学校を中途退学しての、付きっきりでの看病となった。
■助かるためにはメディアに出るしかない
劉さん親子の悲惨な境遇がテレビや新聞で伝えられ、大きな反響を呼んだ。
どうにか助けてやって欲しいと義援金が集まり、ついに劉さんは再び県病院に入院することができた。長期にわたり頭蓋骨を外していたため、脳みそが膨張していること、寝たきり生活だったため骨まで達するようなひどい床ずれができていること、左半身がマヒしていることなど、自宅にいる間に病状は大きく悪化していたが、主治医は3~6カ月で治ると見込んでいる。
「お金がなくて治療をうけられない悲惨なケース」がメディアに報道され、義援金が集まる……。
こうしたケースは中国では珍しくはない。今年5月にも重慶市で、貧しい農村の女性が腹水をとろうと自ら自分の;腹を切開する事件が起きた。報道を受け義援金が集まったが女性は死亡している(日経ビジネス)。
義援金を贈った人々の慈善精神は高く評価されるべきだろうが、問題はメディアに報道されるというイレギュラーな出来事以外に解決策がないという点。中国政府も医療保険改革を進めているが、現実には治療を受けられずに苦しんでいる人が大勢いるのが現状だ。
素晴らしいですね。
記事を読んでてはらわたが煮えくり返った
「おまえらの血の色は何色だ?」って言葉が頭に浮かんだよ