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2011年07月11日
■事故の原因は地盤のもろさと大雨
当局は当初、事故について発表していなかったが、ネット掲示板で暴露され明らかとなった。新三公路は険しい山々が連なる雲貴高原の中を走る全長90キロあまりの道路。6月30日に正式開通する予定だったが、テスト開通の翌28日に倒壊事故が起き、延期となった。
8日、記者が事故現場を訪れると、道路はまだ完成とはほど遠い状況だった。ガードレールの設置や排水溝の建設などまだ工事が進められていたほか、ときおりぱらぱらと山の上から土や石が落ちてくる状況。道路崩落が2カ所、路面の亀裂が1カ所、まだ残っていた。
新平イ族タイ族自治県交通局の卜有章局長は取材に答え、事故原因は災害が多発する地質状況にあると強調した。もともと脆い地盤だったことに加え、連日の大雨で地盤が軟化。さらに山上を流れる用水路が詰まり、たまった水が一気に流れ出したことで大きな災害になったという。ただし、設計、施行、査収の各手続きに落ち度はなかったと言明している。
■超特急での建設、その理由とは?
卜局長の言葉とは裏腹に、新三公路の建設にはいくつかの不審な点がある。
第一の問題点は「着工後に設計プランが認可された」こと。2009年10月に着工しているが、設計案が雲南省交通庁の認可を得たのは2010年5月。つまり、許可が下りる前に見切り発車で工事を始めていたことになる。
第二の問題点は「慌ただしい施行」。作業員の話によると、県政府の大号令によって工期の最後は残業の連続だったとか。上述したとおり、まだ完成とはほど遠い段階で正式開通を強行する目論見だった。6月30日までに完成すれば国の補助金がもらえるため、県政府としてはどうしても間に合わせたかったのだという。
こうした不審点も明らかとなった「史上最も短命な道路」の事故。ネットでは「雨が強すぎたのか、それとも道路の出来がひどすぎたのか?」と揶揄する声も上がっているという。
*鳳凰網の報道。他写真多数。