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【中国高速鉄道】「停電?事故のうちに入らない」「ちなみにパクリもないぞ」中国人研究者吠える

2011年07月13日

2011年7月10日、北京・上海間高速鉄道は山東省済南市付近で雷雨のために停電、運行を停止した。12日には安徽省宿州市付近で給電システムの故障により、やはり停電。エアコンが止まり蒸し風呂となった密閉型車両の中に乗客が閉じ込められる事態となった。

開業から2週間足らずの間に2回も停電したことで、中国ネット民の間では「ほら見たことか、高速鉄道はやっぱり危険やったんや!」「2200億元(約2兆6400億円)もぶっこんでなんちゅうもんを作ってくれたんや」と怨嗟の声が渦巻いている。

12日、人民網は記事「停電はむしろ中国高速鉄道安全システムが信頼できることを証明した―日中高速鉄道技術研究者」を掲載、ネット民の反応とは180度異なる視点を提供した。


京津城际和谐号在天津站 / 墨色鲜艳


■王教授、吠える

記事は拓殖大学の王曙光教授のインタビューを編集したもの。王教授の熱いお言葉を抜き出してみると、

「運行中に電車が雷雨に遭遇するのはどの国だって避けられない。こんなのは『故障』でもなければ、『事故』でもない。突発的な自然現象です。」

技術の評価は緊急状況後に正しく対応できたかどうで決まる。日本であれフランスであれ、高速鉄道を持つ国で同様の問題があれば最初の対応は自動的な電源カットとなる。「雷の高圧電流は人間では制御できないもの。安全のため、速やかに電源カットすることは必然でしょう。」

「停電はむしろ中国高速鉄道が安全技術方面で信頼を置けることを証明するもの。高く評価するのが正しい。」

(停電から運行再開まで2時間かかったが)「もし日本の新幹線なら再開までの時間はもっとかかったかもしれない。車両、線路を徹底的に検査するからだ。2時間は必要だった。時速300キロ以上の高速鉄道はリスクを解決しないで走らせるわけにはいかない。」


■高速鉄道の権威?!王教授の日本語コラムを読んでみた

王曙光教授は拓殖大学国際学部国際学科所属。記事では「日中高速鉄道技術探求分野できわめて権威がある」「長年にわたり高速鉄道技術を研究し、各国の状況を熟知する」と紹介されているが、ご自身のウェブサイトにある著書一覧主要論文一覧には高速鉄道関連の著作は1つも見当たらない。

高速鉄道関連では、サーチナのコラムで連載している。もしこのコラムという「業績」だけで「長年にわたり研究」とか書いたのであれば、人民網は激しく反省するべきだろう。

さて、王教授のサーチナコラムでは、7月8日付記事「盗用説の真偽・中国の高速鉄道と新幹線技術」が注目を集めたようだ。

「日本で騒ぎ立てられる新幹線技術の盗用説は、おおむねマスコミが作った一種の「錯覚」を根拠にしている。そもそも、世の中には、個体としての「新幹線の技術特許」は存在しない。さらに、中国に技術供与された「はやて型」高速車両の技術特許も、不可分の単位体としては存在しない。むろん、中国が開発したCRH380シリーズ高速車両も同様である。」

「「新幹線技術の特許乱発」(『読売新聞』2011年6月28日朝刊)との日本からの批判はまったくの的外れだ、と筆者強く主張する」(原文ママ)

「新幹線技術盗用論争は、中国企業が日本から供与された技術をそのまま、しかも無断で国際特許に申請するという「暴挙」に端を発している。ところが、中国企 業が出願手続を進めている21件の特許とはどんな内容か、それが本当に日本の既存技術を盗用したのか。国際特許申請のルールにより、技術特許の中身が公開 されない今、日本のマスコミや第三者(直接関係のない企業人、言論人など)がなにを根拠に「盗用」「パクリ」と決めつけるのだろうか。」

一部ではバッシングもあったようだが、個人的には上記記事は大変まっとうな内容ではと考えている。少なくとも、特許の具体的内容が明らかにならないかぎりパクリかどうかは不明という点は踏まえて置くべきだろう。ただ最も根本的な内容は「提供した技術を使って輸出はしない」という契約、約束があったのかという点だろう。王教授がその点に触れていないのは残念だ。


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