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2011年07月13日
革命歌コンクール、『小姐』で準優勝を獲得
南方週末、2011年7月8日
友人は隣の省のある鎮(県の下の行政単位)で、鎮長を勤めている。経済的に栄えている鎮で、娯楽産業も発展している。
さて、先日、彼が上海に出張に来たので、食事に誘った。レストランの個室で食事していると、テレビである省の革命歌コンクールを放映している。君のところではやっていないのと聞いてみると、「祝賀イベントは山ほどあるが、革命歌コンクールは最も盛り上がっているものの一つだ」という答え。市の主要指導者も全員参加し、市の各部局、各郷・鎮から共産党組織までこぞって合唱団を結成、歌い手を選抜してコンクールに挑むほどの力の入れようなんだとか。
皆が必死になって参加したそのコンクールで、彼の鎮はなんと準優勝を勝ち取ったという。市長、手ずから彼にメダルを渡してくれたとのことだ。鎮政府のスタッフはせいぜい数十人。それで山ほど人がいる市の政府機関相手にどうやって勝ったのか不思議でならない。
実は我が友人はこの革命歌コンクールという政治的任務を鎮最大のカラオケホールの女主人に任せたのだという(ここでいうカラオケは、日本でいうキャバクラ的な風俗サービス)。女主人は100人以上もいる「小姐」から見目麗しく、声もきれいな40人の精鋭を選び出した(「小姐」(シャオジエ)とは若い女性を呼びかける時に使う言葉。レストランでウエートレスを呼ぶ時などに使う。また水商売、性風俗サービスに従事する女性を指す言葉でもある。ここでは後者の意)。
「小姐」たちは夜はいつもどおり水商売に精を出し、昼間は市文化館から専門の声楽教師まで招いて練習を重ねた。そして、準優勝という驚くべき結果を手にしたのだった。友人はにやにや笑いながらいった。彼女たちが決勝で歌った曲は「私たちは共産主義の後継者」なんだぜ、と。