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日本企業が支払った「慰安金」を横領?!中国赤十字にまた不祥事の噂―中国

2011年07月16日

中国赤十字に対する「醜聞」

『西部網』に「红十字会否认扣留日本企业所付中国劳工慰问金」(赤十字会、中国人労働者に対する日本企業慰問金の横領疑惑を否定)という記事が掲載されました。

慰安金は、鹿島建設が二次大戦中に秋田・花岡鉱山で中国人を強制労働させていた「花岡事件」に端を発するものです。1989年になって、強制労働を強いられた旧中国人労働者が謝罪や補償などを求めて裁判をおこしました。いろいろ紆余曲折があったものの、二審の東京高裁で和解が成立し、鹿島建設は5億円を中国赤十字に預託し、旧中国人労働者の補償に当てられることとなりました。


中国吸血虱子会 / DigiPub


*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


■ネットでささやかれる横領疑惑

この慰安金5億円ですが、うち2億5000万円は労働者に支払われたものの、残る2億5000万円は「経費」名目で中国赤十字の懐に入ったとの噂がネットで流れました。

中国赤十字はウェブサイトに噂を否定する声明を発表しています。

曰く、2億5000万円の「経費」は、520名もの花岡事件強制労働者の捜索費用、被害者が日本に行って関係行事に参加するための費用、各種教育活動費用等として使われたもの。国の関係規定や赤十字財務規定に基づいて使用されたもので、国の監査も受けていると主張しています。


■信用できない中国赤十字

中国赤十字への疑惑には伏線があります。これまでにも中国赤十字が義援金の不当使用疑惑がたびたび起きているからです。

例えば、今年4月にはマイクロブログ・新浪微博で、高級レストランで9859元(約12万円)も飲み食いした領収書が公開され、話題となりました。宛名は「上海市盧湾区赤十字会」です(レコードチャイナ参考記事)。ウィキペディア中国語版によると、市赤十字会は規定違反の経費利用だったと問題を認め、盧湾区赤十字会関係者を叱責したとのこと。

そして、中国赤十字の信用問題といえば、「郭美美Baby」事件が大きな話題となりました。(参照記事『西部網』「一20岁女孩炫富引发红十字信任危机」)。今年6月のこと、「郭美美Baby」と名乗る若い女性(20歳)が、マイクロブログで、豪華な別荘、エルメスのかばん、高価なスポーツカーや乗馬といった金持ち生活の写真を公開、見せびらかしたことに端を発したもの。

それだけでも反感をもたれそうなものですが、彼女の肩書き、「中国赤十字会商業総経理」が問題となりました。中国赤十字への寄付金が彼女の懐に入り、この豊かな暮らしを支えているのではないか、と大いに疑惑を生むこととなりました。

その後、ネット民による「人肉捜索」(個人情報を特定すること)大会が始まり、中国赤十字の郭長江・副会長と一緒の飛行機に乗っている写真も見つかり親戚なのではとの疑惑が浮上するなど、疑惑は深まるばかり。


■国すら信じられないのに……

こうした不祥事が続いているだけに、今回の事件についても誰もが「またか」という反応でしょう。信用を取り戻すためには情報公開などが求められるわけですが、中国では公表された情報それ自体が信用できないので、打つ手なしといったところでしょうか。

中国人は何だかんだいって政府すらあまり信用していないような状況ですから、中国赤十字程度ではまあ信用されないのも仕方ないのかもしれません。寄付が文化として成り立つには、その前提として、自分の寄付した金がきちんと寄付をした者の目的通りに使われることということが必要なわけですが、現在の中国では望むべくもないというのが現状でしょうか。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


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