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よそ者が嫌いな中国人=地元民しか入れない公園に憤る出稼ぎ農民―中国コラム

2011年07月23日

中国人のよそ者嫌いがわかる話

先月中旬、広州市の県級市である増城市で、城管(都市管理者)の一般市民への暴行を発端にした暴動が起きました。という書き出しは、二週間ほど前にした気がしますけど、まあいいでしょう。
(関連記事:「燃え広がった広州市の暴動=胡錦濤は「厳罰方針」を認可―中国コラム」KINBRICKS NOW、2011年6月16日)

今回の暴動では城管の変わらない横暴な態度に加えて、地元住民と外来人(他地域から出稼ぎにきた人)との溝を感じさせるコメントが外来人である民工から出ていました。差別を受けているというわけです。

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*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


■少数民族に限らず、よそ者はみんな嫌い

地元の人間がよそ者として民工を嫌っている部分もありますし、なにより民工というと差別の対象となります。ここに少数民族が入ると民族衝突として片付けられるわけです。ただ、注意すべきは、基本的に中国人はよそ者を信用していないということ。

少数民族であろうがなかろうが、どこから来た民工であろうとよそ者には冷たい態度を取る事に変わりはありません。城管に暴行を受けた妊婦と同じで、暴動に参加したのが妊婦と同じ四川省出身の民工たちだったことからも、地域単位で結束するというのは珍しい話ではありません。

地元住民がどの程度暴動に参加したのかはっきりとした数字は持ち合わせていませんが、四川人が暴行されてもシンパシーを感じなかったでしょうから少なかったのではないかと推察します。


■漢民族同士の地域間抗争


日本人を含めた外国人に対しては「中国人」として一体感を出すものの、中国国内では漢族同士でも地域間抗争があるのです。県人会を開催したりというレベルではなく、無視や敵対に発展します。

中華民族団結をうたい続ける中国ですが、実は人口の大多数を占める漢民族が団結していないというオチ。私の場合は漢民族というのが何なのか、イマイチよくわかってないんですけど、広東語しか離せない30代後半以上の広東人と、きれいな標準語を話す東北人を漢民族で一緒くたにくくるのは乱暴なやり方だというのは、お分かりいただけるかと思います。

例えば、ウイグル人やチベット人と漢族、というのは分かりやすい対立構造なのですが、漢族同士で一見分かりにくいものの対立構造は同じようにあるのです。

前置きが長くなりました。


■外地人お断りの公園


棠下村にある外来人立ち入り禁止の公園(南方都市報、2011年7月21日)

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*クリックでgoogle mapへ。

広州市天河区棠下村にある公園。この公園は周囲を鉄柵に覆われ、東西と南側にある鉄の扉には「非本村村民不准入内」(村民でないものは立ち入り禁止)と書かれたプレートがかかっています。

「村民から部屋を借りているんだから、村内の全ての公共施設を使えるべきだ」と憤る民工に対し、「公園は村民が身銭を切って作ったものだから、外来人を入れないという権利がある」と反論するのは、昔から棠下村に住む村民。結構な家賃収入があり、普通なら民工さまさまなのでは、と思いきやさすがによそ者を人間としてみていないだけあります。

そこで南方都市報の記者が身を持って体験する事に。ここの新聞社は大なり小なり体を張って取材をするのがいいですね。と、記者が扉を押して中に数歩ほど歩いたところ「誰だ、出ろ出ろ」と遠くから怒号が聞こえます。

声の主は老人。

老人「誰が入って良いと言った?」

記者「いや、誰も。ここは公園じゃないの?」

老人「外に書いてある字を読んでないのか。村民じゃない奴は入れないんだ。出ろ出ろ」
ここで老人がもう1人登場。「誰が外地人を入れたんだ。とっとと出て行け」という暖かい言葉に送られ、記者は公園を後にしました。彼らは公園管理者なのです。地元出身のじいちゃんなのでしょう。


■広州市のお達し?外されたプレート


ところがこのプレートは、20日夜に記者が再度訪れた際には取り外されていたのです。誰かが密告したのでしょうが、広州市内でこうした地域差別が行われているというのは、増城暴動を教訓に「外来人と仲良くしよう」という小学校のような目標を立てた広州市にとって都合が悪いのでしょう。

先日、市委全会で、万慶良広州市長が「広州は外来人の心理的な隔たりを取り除かなくてはならない」と強調しており、手始めに足元からお手入れされたのでしょうけど、地元民と民工に存在する溝はプレートを取り除いただけでは埋まらないのは分かりきっています。ふとしたきっかけでまた表に出てくるのではないでしょうか。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

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