中国高速鉄道事故既にご存じの方も多いとは思いますが、浙江省杭州発福建省福州駅行きのD3115とD301が、23日20時34分に追突事故をおこし、多数の死傷者がでました。
東日本大震災の時もそうでしたが、被害が大きすぎるとどうしても被害の全容解明には時間がかかります。「
杭州網」に事故発生からの状況について、乗客の発したマイクロブログなども併せて並べられたものがあったので(「杭州至福州D3115次动车脱轨,事发温州双屿附近」(杭州発福州行きのD3115が脱線事故、事故現場は温州双島付近))、それを一部概訳する形で紹介したいと思います。
*杭州網の報道。*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。
21時30分:
車両は前に進まず、給仕の乗組員は9号車両に来るようにとか、防護ネットを各車両に配布するようにという放送が流れていると乗客がマイクロブログで発信。
21時39分:
乗客からのマイクロブログで記者が脱線事故が起こったことを確認。
22時11分:
何名かの負傷者が温州康寧医院に搬送されたことを確認。
22時20分:
(記者が得た最新情報)20時30分前後にD3115にD301が追突し、1~3号車が脱線し橋の下に転落、怪我をした乗客が窓からはい出して逃げ出している。この時、記者が4号車にいたが、突然激しい揺れに襲われ、灯りが消えた。現在死傷者の数は不明。
22時20分:
(温州都市報記者現場実況)温州医学院附属第一医院からの情報によると、現時点で4名の負傷者が運び込まれた。その内1名の方は林亜華という54歳のアモイの女性で腰椎骨折の重傷。彼女によると事後後3号車のドアから這い出して、その後息子によって病院に運び込まれた。これ以前にも黄という姓の福州の方が同じ車両にいて運びこまれたが、検査の結果異常なしとなり既に病院を後にしている。救急車が他2名の負傷者を運んできたが、2名とも頭に怪我をしており、体中血だらけで、怪我の程度は不明。
22時33分:
(記者が上海鉄道局から得た情報)既に上海鉄道局は担当者を現場に派遣した。情報によると、脱線の原因は落雷の影響により、動けなくなったところに、後ろの車両が追突したとのこと。
23時00分:
(脱線事故現場)車両がまっぷたつになっている。『人民網』の報道によると、記者が見た限り少なくとも3両以上が高架橋から落ちている。そのうち1つは直角に地面に刺さっており、ひとつは50mの高さの高架橋の間にぶら下がっており、もう1つは2つに割れている。救助活動に参加した者によると、「4名を助け出したが、1人は既に生命反応がなく、もう1人は極めて重傷だった。」とのこと。
23時20分:
(『新華網』速報)脱線事故により既に11名が死亡、89名が病院に送られ治療を受けている。
■第一報としてマイクロブログが大きな力を発揮
ひたすらこういう状況解説が続いております。こうした状況をみると事故などが発生した時の第一報として如何にマイクロブログが大きな力を発しているかわかります。まさかこれだけ大きな事故を起こして隠蔽工作に走るということはなかったでしょうが、自国に不都合な事件は平気で隠す国ですから、事故の規模によってはどうなっていたかわかりません。
開通したばかりの、北京と上海を結ぶ中国高速鉄道でも事故が相次ぎましたが、これも事故に遭遇した乗客がマイクロブログに書き込んだことが、事件が明るみに出た発端となっています。
あと思うのが、どうしても他人に同情できるかどうかというのは情報量に依存するところが大です。つまりこうした誰々がどうしたという記事を見ていると、感情移入しやすいわけですが、死者何人とだけまとめて言われると、どうしてもあまり実感がわかないのではないでしょうか。
今回紹介したHP以外にも事故の写真はかなり掲載されております。実際この記事でもアマチュアカメラマンの小刀という方が事故後20分で現場に到着しており、事故の状況を撮影し、それをネット上に掲載したことや彼の撮影した写真を紹介しております。
中国の高速鉄道には日本にしてみれば特許の問題などいろいろわだかまりを持っていらっしゃる方もいるかと思いますが、事故に遭われた方にはそのような非はありません。1人でも多くの方が無事救助されることを願うのみです。
*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。
http://news.xinhuanet.com/society/2011-07/24/c_121711518.htm