【温州列車追突】ついに温家宝がやってきた事故といえば温家宝の出番であります。
災害担当の張徳江副総理に陣頭指揮を任せ、本日(28日)馬凱・国務委員を引き連れて満を持しての登場となりましたが、事故発生から今日で既に6日目。人民総理のフリをしているにしては遅いご登場でありますが、すぐには現場に駆けつけられなかったわけがありました。
温家宝「病気ですぐに来られなかった」(明報、2011年7月28日)
温総理「11日臥せってて慰問に遅れた」(国際財経)
*国際財経の報道。いや、ウソでしょ。
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。
■温家宝のウソ
ここ2週間の新華社がまとめている温家宝の動向を見ると、13日に国務院の会議を主催し、18日にイラク大統領と、21日にカメルーン大統領と会見しており、まとめには掲載されていませんが24日には我らが河野洋平・日本国際貿易促進協会会長と会見しています。
体調不良の割には平時と変わらない動きを見せており、「今日は医者に無理を言ってやってきました」とか言っちゃうあたり、いつもの恩着せがましい温家宝らしいですが、いきなりウソを口にするとはどういう了見なんでしょうか。
温家宝、7・23特大鉄道事故現場で記者会見(新華社、2011年7月28日)
這段時間我病了,11天在病床上,今天醫生才勉強允許我出行。這就是為什麼這次事故發生第6天我才來。
(この期間中、私は病気で11日間ベッドにいました。今日は医師に無理に外出を許可してもらいました。なぜ事故発生6日目に来たかの説明です。)
■異例の体調不良発言の理由これは何も香港紙だけで報じられたわけではなく、新華社様でもしっかりとテキストに起こされています。政治局常務委員クラスの人間が、自身の健康状態に言及するというのは記憶にありません。癌で亡くなった黄菊の病状をかたくなにまで明かさなかったのを考えると、違和感があります。
温家宝の力が想像以上に落ちていて、健康状態から何からダダ漏れといううがった見方をしてもしてもいいのですが、恐らく温家宝が来ても大丈夫な環境作りが中々出来なかったのでしょう。遺族は現場近くの駅で座り込んで抗議をするなど万全ではありませんが、被害者との面会や献花などの段取りにメドがついたので、仮病を使って現地入りを渋っていた御大にお越し願うという手はずかと。
■俳優王、温家宝温家宝が現地入りして何が変わるかといえば、一部の温家宝の目に留まった人間が特例で優遇措置を受けられるケースはあるものの、全体を見ても明らかに改善することはありません。炭鉱事故が起きるたびに安全生産を口にして指示を出すものの、闇炭鉱や事故が無くならないのを見れば温家宝の掛け声倒れに終わっているのが現状なのです。
温家宝の現地入りやウソ泣きは「作秀」(ショー)と呼ばれており、ネットでは冷めた視線を向けられる温家宝の現地入りですが、少なくとも党中央と、それを必要とする人のためにショーをやりきる点に意義があるのでしょう。ツイッターや微博など縁のない人たちにとっては、まだまだ温家宝は正義の味方なのです。
■遺族のシンボル的存在、楊峰とも対面
下写真は妻とおなかの子ら5人を事故で亡くした楊峰さんと温家宝。沈痛な面持ちで寄り添うという構図がいいんでしょうね。
(関連記事:「
【鉄道追突】家族5人を失った遺族のシンボル・楊鋒=口封じで批判封印か―中国コラム」KINBRICKS NOW、2011年7月28日)
*新華網の報道。
楊峰が買収疑惑を否定ネット上の情報は全てウソ(新快網、2011年7月28日)なお、その楊峰は微博でのつぶやきは自分ではなく他人が発したもので私の発言ではない、また鉄道部に買収されてなどいないと反論しています。
ただし、現場に駆けつけて以来ずっと着ていた麻の喪服を脱いでシャツになった理由はなんなのだろうか、という別の疑問が記者に投げかけられています。疑惑はそう簡単には拭えそうにありません。
*温家宝病気発言については、明天会更美好さんが異なる解釈を示しています。記事「【鉄道追突】なぜ事故車両は埋められたのか?鉄道部VS温家宝の対立―翻訳者のつぶやき」を参照。*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。
病気よりも毒盛られてないか心配やな