中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年07月30日
骨太の特集ですので、まだ全部読み切れていませんが、自分の印象に残った記事をここで紹介します。民間系メディ
アの官製メディアに対する怒り、そして今回の事故報道に関する正義感が激しく伝わってくるメッセージがありました。「中国メディア」というくくりで中国各紙を一緒くたにはできないのです。記事のタイトルは「做有良知的媒体」(良識あ
るメディアたれ)です。以下、抄訳でご紹介します。
「做有良知的媒体」(良識あるメディアたる)
23日の列車事故後は全国のあらゆるメディアが声を挙げた。あの人民日報を代表とする中央政府官製メディアでさえ「起きるべきでない事件がなぜ起きたか?」と詰問し、中央電視台さえも追跡報道を行った。
そんな中、それでも一部の官製メディア、例えば「環球時報」や「公益時報」(鉄道部の機関報である「人民鉄道報」は論外だが)は信じられないような論調を掲げ、これら新聞の関係者はメディア人として基本的な良識と節操、そして亡くなった40人の命に対する最低限の敬意を持っているのかすら疑われる。
環球時報が25日に発表した「高速鉄道は中国が経験すべき自己鍛錬」と題した論評では、「鉄道部は事故後すぐに上海鉄路局局長らを解雇するなど正確な一歩を踏み出している、今回事故の結論が高速鉄道の速度を落として昔の鈍行電車にもどることであってはならない」としている。
鉄道部を追求すべきでなく、高速鉄道という新しい技術に対する疑念を持つ社会にその責任を求めるべきと言うのか?事故後すぐに責任者を交替したのは単にスケープゴートを作っただけで、事故処理現場は更に混乱したのではないか?乗客は実験用ラットになってまで「鍛錬」をして高速列車を走らせなければいけないのか?
同日、25日に出された公益時報は「温州列車事故から見る中国社会主義の優越性」と題し、黒いものを白と主張する奇々怪々な文章を出している。事故後まだ救出作業をしている時に社会主義の優越性を訴えるなどバカげた超楽観主義ではないか?資本主義体制の日本では新幹線開業から47年間、大事故を起こしていないというのに、何が「中国社会主義の優越性」だ!
我々メディア人がすべきことは「嘘を言わない」ことである。完全な真相を書くことはできない時があるかもしれない、ただ少なくともメディアに嘘を言わないことを求めることはできるはずである。ペンで真っ白な紙を汚してはならない、自らの良心に背くようなことがあってはならない。
(経済観察報、2011年7月30日)
事故自体も相当びっくりしたけど、フツーに中国民衆が政府の隠蔽体質を批判してんのには驚いたね。それにとどまらず、温家宝首相、謝っちゃったからね!一昔前の中国ならありえなかったよこれ
まだまだ問題の多い政府だけど、政府と民衆が呼吸してる感じは新しいね。新しい中国だね
多分政府は今後少しずつ民衆に寄り添うようになるんじゃないかな?楽観はできないけどね。個人的にはその先が心配だ。日本も大正時代、昭和初期の全体主義のムードが現れる前には、かつてない自由主義の風が吹いてたからな。