中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月02日
■日本で広まったデマ、「35人ルール」とは
まず、日本で拡散した「35人ルール」について。
その拡散の過程については、「中国の死者数35人上限というおはなしデマじゃね」(Togetter)に詳しい。当初、高速鉄道追突事故の死者が35人から一向に増えなかったため、「35人以上死者が出ると官僚がクビになるの。だから犠牲者はそれ以上にならないの」との書き込みが中国であり、それが日本にも波及したという形のようだ。
「35人以上死亡者が出ると必ず官僚がクビになる」という理屈だと、反証は非常に簡単だ。一件でも違う例を見つければいい。水彩画さんが指摘しているとおり、昨年大問題となった上海市静安区の高層マンション火災では58人が死亡したが、区トップも市トップも更迭されていない。
■ラインは35人じゃない、30人だ
さて、ちょっと面白くなるのはここからだ。南方週末は「35人というラインはない。あるとすれば、30人、あるいは10人だ」と解説している。
中国国務院の「鉄道交通事故応急救援・調査処理条例」によると、事故の等級は「特別重大事故」「重大事故」「比較的大きな事故」「一般事故」の4段階に分けられる。「特別重大事故」の要件は以下のとおり。
(1)死者30人以上、あるいは重傷者100人以上、あるいは1億元(約12億5000万円)以上の直接的経済損失を持たした場合。
(2)主要客運路線で18両以上脱線し、鉄道の運行が48時間以上中断した場合。
(3)主要貨物路線で60両以上脱線し、鉄道の運行が48時間以上中断した場合。