中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月04日
■炎上の過程
・共同通信中国語版の報道が伏線に
黒竜江省、日本「満州開拓団」逝者の名入り記念碑を建立(共同通信中国語、2011年7月28日)
方正県の「中日友好園林」内部、日本人公墓脇に日本「満州開拓団」逝者の名前を刻んだ石碑が建立された。石碑は方正県が70万元(約840万円)を拠出して建設されたもの。確認できた250人の死者の名が刻まれている。
黒竜江省方正県は日本企業の投資を誘致するため、70万元(約840万円)を投じて日本軍死没者の記念碑を作った。GDPと官僚の政治業績のために、現地政府がここまであさましいことをするとは。こんなことをするくらいならば、靖国神社でも作って礼拝でもしたらどうだ。先週の温州高速鉄道追突事故の犠牲者名簿もはっきりしないのに、数十年前に死んだ人の名簿はこんなにはっきりわかるなんて。反右派闘争、大躍進、文化大革命で死んだ数千万人には記念碑はないのに、日本軍のために作ってやるなんて。これぞ中国式「碑劇」と呼ぶべきだろう。たんなる日本バッシングではなく、政府・官僚批判、高速鉄道追突事故対応批判を盛り込んでいる。「外国には媚びを売るのに自国民は無視かよ!」と大きな反響を呼んだ。3日午後4時半現在で2万3000コメント、10万回以上転載されるほどの注目を集めているが、日本人憎悪クラスタの人だけではなく、「政府が悪い」クラスタまで巻き込んだがゆえの反響の大きさだろう。このつぶやきは多くのマイクロブログ、ネット掲示板に伝播していく。
(碑劇は悲劇とのかけことば)
ネット掲示板の書き込みで、「方正県は看板を日本語、中国語並記にしなければいけない。違反者には罰金」との書き込みが話題を呼ぶ。「旧満州はまた日本に占領されたのか」などとの声も。(中国網参照)。
2011年8月3日午後3時、保釣(尖閣諸島防衛)五勇士は方正県「開拓団国辱記念碑」を怒りを込めて破壊した。(天涯社区、2011年8月3日)中国の尖閣諸島領有を主張する反日団体・中国民間保釣連合会関係と見られる男性5人が現地に突入。ペンキをぶっかけ、ハンマーで壊そうとした。完全に記念碑を破壊する前に警察が阻止している。きれいに写真がとられていること、ちょうどいいタイミングで取り押さえられていることを考えると、「ペンキかけまではOKよ」という出来レースだったようにも見えるのだが……。