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米国で過熱報道が続く「ニセ・アップルストア」騒動=法律じゃ取り締まれないその理由とは―中国

2011年08月07日

「お店まるごとニセモノというニセ・アップルストアが中国にあった!」というニセ・アップルストア話(参考リンク)。7月20日に公開された米国人のブログ・エントリーを発火点に、あっという間に世界中に広がる話題となった。日本では「もう十分笑ったし、いいや」という感もあるが、米国ではまだまだ炎上が続くホットトピックとなっているようだ。

グーグルニュース米国版で「Fake Stores」と検索すると、この1週間で1170件もの記事が更新されている。私が検索した時点(2011年8月7日午後7時)でトップに表示されたのは、米紙ウォールストリートジャーナルの「Made in China: Fake Stores」(日本語版「中国に横行する本物そっくりの偽店舗」)。ニセ・アップルストア、ニセ・イケア、ニセ・デイリークイーンの写真をまとめた写真特集まで組んでいる気合いの入れようだ。

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*画像は新浪網の報道。米ニューヨーク市のニセ・アップルストア、Apple Story。


■「模倣の国」中国を叩くWSJの情熱

中国に横行する本物そっくりの偽店舗
ウォールストリートジャーナル日本語版、2011年8月3日

「模倣の国」、中国では、「イケア」を真似た店で家具を買い、「サブウェイ」そっくりの店でサンドイッチを頬張り、「デイリークイーン」とうり二つのアイスクリーム店でデザートを楽しむことができる。

中国偽ブランドの新時代へようこそ。ここでは、巧妙な偽物店経営者がますます洗練されていく中国人消費者に、本物と見まがうような店舗体験やカスタマー・ サービスを提供している。親切な店内マップから、クーポン、ショッピングバッグ、店員の制服に至るまで、何もかもが本物そっくりなのだ。

同紙は5日、やはりニセモノ王国・中国という切り口から「ニセ遺伝子組み換え種子が中国に蔓延」というネタもあげるほどの熱の入れようだ。


■「KINBRICKS NOW」が出遅れた理由

これほどのホットトピックとなったのに、本サイト「KINBRICKS NOW」ではこれまでニセ・アップルストア話を扱ってこなかった。「忙しかった」「出遅れたから他のサイトに任せればいいや」「怠惰だから」といった理由ももちろんあるのだが、最大の理由は「えっ、これってそんなに驚くような話じゃないよね?!」と思ったからだ。

米国人ブロガーが発見した昆明のニセ・アップルストアは、ガラス張りの外装や店内のオシャレ感まで見事にパクったすばらしい出来で、相当資金を突っ込んだお店だろう。さすがにここまでの店舗はそう多くないが、それなりに頑張っているニセ・アップルストアは中国各地、世界各地にごまんとある。

6日付北京晩報によると、北京一の電脳街・中関村にはニセ・アップルストアが乱立しているという。昆明のような単独店舗ではなく、ビルの一部に入居している形式だが、それでもアップルストア感は存分に示しているらしい。


■店舗デザインのパクリは違法じゃないのだ、多分

世界的な騒ぎとなったためだろうが、その中関村でもニセ・アップルストアの取り締まりが始まっているという。ただし、チェックポイントは「アップルの商標を無断使用していないか」「アップルストア、またはアップル**ストアという名称を使用していないか」という点のみ。世界の人々を笑わせたアップルストアそっくりの店舗デザインは取り締まりの対象となっていない。

6日付新浪網によると、米ニューヨーク市東部地区地方裁判所は6日、アップル社の申し立てを認め、チャイナタウンにある複数のニセ・アップルストアに一時営業中止を命じた。しかし、ここでも問題はアップルの商標権を侵したか否かが問題となっている。

中国ではとりあえず5店舗のニセ・アップルストアが確認されたことになっているが(実数はその100倍ぐらいあるのではないだろうか)、当局はそのうち2店舗のみに閉鎖を命じた。しかもその理由はパクったためではなく、正規の営業許可を取得していなかったことが原因だ(参考リンク)。とはいえ、当局の判断はそんなに驚くような話でもない。

知的財産研究所の紀要論文「各知的財産制度の適切な保護領域のあり方に関する調査研究」(PDF)に詳しいが、「アップルストアっぽい」というような全般的な店舗デザインのパクリを訴えることは難しいという。りんごマークもアップルストアという名前(ニューヨークのニセ・アップルストア「アップル・ストーリーのような類似の名称もふくめ)さえ使わなければ、ニセ・アップルストアは合法的な存在になってしまう。

もちろん丸パクリで商売しているのは勘弁して欲しいというか、やめたほうがいいと思うのだが、「アップル感」を打ち出したニセ・アップルストアを取り締まる方法は現在のところなさそうだ。


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