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ネパール当局がダライ・ラマ事務所代表を一時拘束=見え隠れする中国政府の圧力―チベットNOW

2011年08月08日

亡命政府在ネパール代表一時拘束の件

在ネパール・ダライ・ラマ代表事務所代表のティンレー・ラマが8月5日、ネパール警察により8時間に渡り拘束され、尋問を受けた。この件はBBCでも報道され、ちょっとした騒ぎとなった。ネパールの国際人権事務所や世界的チベット支援組織の働きかけにより、その日のうち解放されている。

日本でもmsn産経ニュースが共同電の記事を掲載した。

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*画像はRFAチベット語版の報道。

*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。


■事件の経緯

ただ、「『2人はチベット人ではないが、書類を偽造して難民資格を得ていた』と認め、謝罪する声明を発表した」という記述は、正確ではないように思う。まず2人はチベット難民ではないが、チベット人である。また、記者会見記録を読む限り、何かを「謝罪」したとは考えられないからだ。
追記:「謝罪する声明を発表した」の部分はすでに差し替えられているとのこと。情報源はネパールの新聞から。)

発端は、先々週の火曜日にカトマンドゥ空港から15歳と12歳のチベット人学生が渡米しようとしたことに始まる。2人はチベット福祉事務所(代表事務所)が発行したというチベット難民認定書とネパールパスポートを持っていたが、パスポート検査で引っ掛かり渡航できなかった。偽造パスポートと見なされ、難民認定書も問題ありとみなされた。

この件を報道したネパールの各新聞は、「ネパールに住むチベット人たちはネパール人になりすまし仕事を得ていたり、偽のパスポートを作っている。亡命チベット人福祉事務所も偽の証明書を発行している」と報じた。

これを受け、代表のティンレー・ラマは8月5日の朝、市内のホテルで記者会見を行った。カトマンドゥの難民一時収容所とチベット亡命政府の記録を調べた結果、彼ら2人はチベット人難民ではないこと、福祉事務所も2人に何らかの証明書を発行した事実はなく、したがって書類は偽造されたものだと明言している。


■見え隠れする中国政府の圧力

一方で、こうした事件が起きる背景には、中国の圧力を受けたネパール政府が、1998年以降、ネパール在住チベット人に対して正式な身分証明書を発行しなくなったことがあげられると指摘。身分証の発行再開を要請した。

在ネパール・チベット人の多くが、身分証や出生証明書がないために政府の学校に入る事もできず、就職することもできない苦境に立たされている。運転免許証も取得できない。パスポートはおろか、普通に飛行機に乗る事もできないのだ。

また、RFAなどのメディアは、ティンレー・ラマ拘束の背景に中国の圧力があると指摘している。最近赴任したばかりの新たな在ネパール中国大使は、チベット人に対する圧力を強化するよう、ネパール政府に要請している。中国政府使節団のネパール訪問、ネパール軍事代表団の北京訪問の只中、そしてチベット亡命政府の新首相ロブサン・センゲ氏の就任式まであと3日というタイミングも、中国政府の圧力という筋書きを裏打ちしているように思われる。

参照記事:phyul(英語、8月6日)RFA(チベット語版、8月6日)

*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。


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