日本人技術者の一言私たちの合弁会社の立ち上げ当初、日本からよく技術者が来ていました。みなさん日本で長年の経験を積んできているだけあって、設備にとても詳しかったです。どんな不具合でももの見事に直してくれるので、ロシア人ワーカーが憧れの表情で「教えてください」と頼む。その言葉に対して何回も同じ返事が戻ってきています。
「これだけできるようになるには20年かかる!」
Grinding welds at K Museum. / Dana + LeRoy*image
*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。
言うまでもなくそうは言っておきながら、快く色々教えてくれていました。しかし、どうも上記のセリフが気になったみたいで、ある日ロシア人ワーカーがぽろっと言いました。
「ロシア人スタッフの中で、日本の会社で20年働いた人は、いるわけがない。そんなことを言うんだったら、この工場の生産・保全スタッフを全部日本人だけにすれば?」
聞いてなるほど、こういうところは日本とロシアは違うなと思いました。日本は終身雇用が崩れてきているとは言われていますけれども、同じ会社で20年(30年、40年)働いてきたという人はけっして珍しくはないです。
そして、日本の会社における技術伝授の仕方は終身雇用を前提としており、長年の「経験」を基本にしてきたのだと思います。「経験」を短期間で「知識」として伝える必要はあまりなかったのです。時間が経てば覚えるし、覚えていない間は経験豊富な先輩がそばにいる。
(私は日本の会社のことはそこまでわかっていませんけれども、今まで観察できた範囲で言うと、どうしてもそう見えるのです)
しかし、このやり方は海外には通用しません。転職が当たり前の世界だから、
「経験」を短期間で「知識」として伝える必要があると私は思います。もちろん、長年経験を積まないと身に付かないものもありますので、こうした教育は限界があることはわかっています。それでも、海外に進出する日本の会社は、日本とのこういう違いをより認識し、現地スタッフの教育方法を工夫する必要があると、偉そうに考えるタチアナでした。
*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。
それが可能なら、素人に知識を伝えるだけでオリンピック選手に出来ることになる。
やはり経験と修練が必要です