中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月11日
■中国コンドーム事情今昔物語
ほんの10年前には、中国のお店に並んでいるコンドームは怪しげ、かつダサいものばかりだった。初めて中国に住んだ時、薬局で売られているラインナップに
愕然としたことを覚えている。私が『地球の歩き方』編集者だったら、「日本製コンドームを持っていくのを忘れるな!」とチェックリストに書き加えていただ
ろう。
もっともそんな状況も今は昔。日本メーカーも含めた各国製品が手軽に入手できるようになったし、中国製品もずいぶんとオシャレになった。バナナ味、ミルク味といった香り付きコンドームから、バイブレーション機能つきといった変わりダネまで売っている。
変わりダネの一種と言えるのが早漏防止コンドームだろう。日本の早漏防止コンドームは厚みを増すことで感度を鈍くしているが、Jissbon社製造は麻酔薬ベンゾカインを塗布する仕組みとなっている。
(ベンゾカインについては、「日本男子、薄さにこだわるコンドーム信仰!」All About、2009年7月27日を参照)
ところが、「非凡な持久力」という宣伝文句は全くのウソだったと裁判沙汰になってしまった。
■変わりダネコンドームには政府のお墨付きが必要だ=驚愕の判決
訴えを起こしたのは深圳市在住の男性。「非凡な持久力」という宣伝文句に引かれ、喜び勇んで2箱購入。帰宅後、即試用してみたところ、まったく効果がなく愕然としたという。怒り心頭の男性は「早漏防止コンドームが効かなかった!」という前代未聞の裁判を起こし、Jissbon社とメーカーを訴えた。
被告側は、米食品医薬品局(FDA)が2003年に発表した「ベンゾカインはコンドーム内に塗布することで男性器の感度を鈍らせることができる」との文書を提出したが、裁判所は「避妊、性病防止といったコンドームの一般的機能以外の特殊な効果については、中国政府関連機関が公認した文書に準拠しなければならない」と指摘。
早漏防止コンドームは詐欺にあたるとして原告の訴えを認め、メーカー及び販売店に購入代金36.6元(約439円)を返還。さらに36.6元を賠償するよう命じた。原告にとってはたかだか800円あまりをもらえるだけだが、「変わりダネコンドームの宣伝には中国政府のお墨付きが必要」との判例が出たコンドーム業界には、大きな衝撃を与える裁判と言えそうだ。