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2011年08月11日
■放送直前に中止されたニュース特集
9日夜、CCTVの人気報道番組「新聞1+1」はこの大連パラキシレン工場の問題を取り上げる予定だった。午後9時半、番組の予告が流れCMに。だがCM明けに流れたのはまったく別の番組で、大連特集が放映されることはなかった。
CCTV記者、警察を従業員が殴打したという話を読んだ時、強力なバックを持った会社がメディアや現地政府に対しても強気でいられるのか、はたまた現場従業員の暴走なのか、判断がつかなかった。しかし、この「新聞1+1」の一件で、大連パラキシレン工場の「黒幕」は直前にCCTVの特集番組を止める権力を持った人間であることが明らかとなった。
■新たなスキャンダル
2011年8月11日、解放牛網(上海市共産党委員会の機関紙・解放日報集団旗下のニュースサイト)は大連パラキシレン工場について、新たなスキャンダルを報じた。
問題の工場は2007年10月6日に着工。2009年6月21日に生産を開始している。ところが国家環境保護部が同工場の環境評価を認可したのは2010年11月のこと。生産を開始してから1年半近くもたって、プロジェクトが認可されたことになる。本来ならば建設前に認可を取得する必要があったはず。ド田舎ならばいざしらず、大都市・大連で大型化学薬品工場が正規の認可を得ずして建設されていたことになる。
また、気になるのは放映直前のニュース特集を差し止めする権力があるにもかかわらず、メディアの報道を止められていないこと。そればかりか、新たなスキャンダルまで報じられてしまった。ここまで傍証がそろうと、化学薬品工場を舞台になんらかの政争が繰り広げられているのではと疑ってしまうところだが……。
なお同工場着工時の遼寧省トップは李克強氏(現・副首相)、大連市トップは張成寅氏(現・遼寧省共産党委員会副書記)であった。