中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年08月12日
■ネットユーザーの怒りとその伏線
といった感じで、行政への怒りをかき立てる記事が掲載されたのが7日のこと。ラジオ番組「新聞晩高峰」で紹介されたエピソードだそうで。ウェブニュースにもなっています(中国広播網)。
もちろん怒りを覚えたのは牛隊長だけではありません。これを読んだ中国ネット民も「やっぱり中国は腐っているっ!」「許可証取るのに金がいるんだろ!金、金、金、イヤな時代だ」「蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし」と怒りをあらわにしています。
(*ネット民の反応には一部誇張表現が混じっています)
実はこのおぼれた人の救助、溺死者の捜索という話には伏線があります。2009年のこと、湖北省でおぼれた子どもを助けようとして川に飛び込んだ大学生3人が逆に溺死してしまうという事件がありました。それだけでも民草を感動させるエピソードなのですが、本当にやばかったのはその後。
なんと地元の漁民が「引き上げて欲しかったら遺体一つにつき12万元(約144万円)支払えよ」と遺族に対して悪魔のごときゆすりを敢行したのです。全中国のネット民が怒髪天となる大騒ぎとなりましたが、その後もちょくちょく似たような話が流れたり。「おぼれた人の捜索は利権化している」という認識は広く共有されるものとなっています。
(湖北省の溺死者引き上げエピソードについては、浙江在線を参照)
■南方週末が伝える意外な話
とまあ「中国政府ゆるせない話」の1エピソードとして今回の話がほどよく広がったところで、ちょっと意外な展開が。鋭い中国政府批判で有名な南方週末が鄭州市鄭東新区側の主張を載せています。
曰く、
・4日朝、湖のほとりを通りかかった市民がパイチュー(白酒)の空き瓶の破片と外套を発見。携帯も残っていたので家族に連絡してみると、前日夜から行方不明になっている女性のものだと判明しました。末期がんと判断され、重度のうつ病になっていたのだとか。即効で警察、消防に通報。
・通報を受けて警察と消防が到着。飛び込んだかどうかはわからないけど、捜索するしかないか、と船をだして2時間以上も遺体を探す。
・そこにやってきたのが鄭州市水上義務捜救隊の皆さん。「俺たちが泳いで捜す!」と息巻く彼らだが、ライフセーバーの免許も持っていない。二次災害でたら困るし……。もし本当に飛び込んでいたとしてもこれだけ時間が過ぎていたら絶対に命はないし……。と渋る警察を前に騒ぐ捜救隊の皆さん、泣く遺族。
・根負けして「じゃ、お願いします」ということに。消防の船があらかた絞り終わっていたこともあり、捜索の網がせばめられたところに飛び込んだ捜救隊の皆さんが遺体を発見したというのが顛末。
・ライフセーバーの免許の話はしたかもしれないけど、「引き上げ許可証」の話とかしてないっす。
その後ろには地元警察や官僚がいるんだろうな・・・
何で革命が起きないのか不思議だよ